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2011年1月 アーカイブ

2011年1月23日

はいっ!

高校生クラス、センター試験が明日という前日、

「おい、鉛筆削るぞ、誰かいないか」

中3にお守り代わりに名前を彫った鉛筆と消しゴムを夫はひとりひとりに

贈る。これまでは15歳だったが、高校生クラスができてからは

18歳にも贈る。

「いないか」

先生、これに。

驚いた。

あらーっ!

差し出された鉛筆、15歳のあのときの鉛筆、

公立入試に祈って削った、3年前の鉛筆。

 

何年か前にも、同じ光景があった。

何人か、持っていてくれるのです。そのたびに

じんとします。

机の中にしまったおいてくれたのだろうか。

1本の鉛筆はしんと3年も、部屋のどこかで

次の出番がくるまで待っていてくれたんだ。

 

「おい、鉄道少年よ」

中学生のとき、乗り鉄の夫が、名前を呼ばすに、鉄道少年と呼んでいたD君も鉄道マニア、

心が広くあったかで、先生、名前を呼んでください、などと抗議もせず、

夫を許してくれていた。夫の心の友、だったと思います。

高校生になっても、ずっと週2で通って、

試験前には空いているところで中学生にまじって勉強してきた。

15歳まで3年、そして高校生クラス3年、小学生からだと長い人で

8、9年いる。もはや、親友でございましょう。

 

夫は鉛筆を削って渡した。

センター、がんばれな!

はいっ。 

(15の鉛筆には心がふるえるもんです。感動するもんです)

 持っていてくれたのね。

はいっ。

3年も。

はいっ。

当たり前のように、元気よく言うけれど、

持っていた、あなたがすごいって思う。

鉛筆を贈るつもりが、

逆に、

3年も大切にしてくれたあったかい気持ちを

あなたから贈られた気持ちです。

今北玲子

 

 

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