6月 小学生
作文が苦手な人ほど、早く終わらせてしまいたいと思ってしまう。
あるいは、「作文をするよ」と言うだけで顔を曇らせる生徒がいます。
苦手な理由のほとんどが、書くことがない。
なんとかしたいな。
書くことを楽しんでほしいな。
ずっと思っていました。
塾であれば学校のようにカリキュラムはない。
ゆっくり漢字もできれば、作文に時間をかけてもいい。
4月下旬 小6の国語
「今日は、1回や2回では終わらない作文を書きましょ」
えっ!
長く書くの?
そう、長い作文を書きます。
時間を追ってゆっくり丁寧に。
「例えば、家族で出かけたとします。
前の晩の様子、朝起きた時間、朝食は何を食べたか。
どんな服を着たか。
何時に出かけたか。
車?
電車?
誰と?
どこに行くのか。
細かく、思い出して書きましょ」
「それなら書けるかもしれない」
少し納得してくれました。
小6の生徒は旅行がいい、ということで、
わくわくの前の晩のこと。
朝、5時半に目覚ましをかけたこと。
目覚ましより10分早く起きたこと。
6時出発。
何も食べずに車に乗り込んだこと。
朝食はコンビニのおにぎり。
塾の200字の原稿用紙がみるみる埋まって
もう一枚ください。
2回目
前回の作文から、
「大きなお風呂に入りました」
この場面はいいね。
もっと詳しく書いてみようか。
お風呂の広さは学校の教室くらい?
「ううん、その半分くらい。
脱衣場にかごがいっぱいあった」
かごはいくつくらい?
「30個、40個かな」
脳裏に大浴場が浮かんできたようです。
鉛筆を持った。
3回目
わあ、いいな、と思った山、小さな川、
高いビル、低いビル、
自分で勝手な名前を付けるのもいいよ。
(余談です。
私も北仙台駅そばの堂々とした戦後ケヤキを「昭和ケヤキ大将軍」
ひまわり薬局前の紅葉が美しいイチョウを、「黄金(こがね)散る姫」
名前を付けると親近感が湧く、と作家重松清氏も言っておられました)
今日も原稿用に文字が埋まっていく。
書くことがあるのです。
子どもが夢中になっている姿は
嬉し楽し、です。
6月になっても作文は終わりません。
続いています。
旅の途中です。
玲子