卒業生カップルがいる。それはそれは感動の二人。
それぞれ、違う時期に入塾し、アシスタントをしてくれていた。
二人に恋は芽生え、一組の夫婦になった。
この塾で知り合い、人生を共にする夫婦になるなんて
縁の感動は天井知らずである。
折りにふれて挨拶に二人で来ていたが、
仕事の関係で仙台を離れてからは8月の盆休みに必ず来てくれる。
ひとり生まれ、二人生まれ、今年は4人家族。
来年は3人目におめもじ叶うようだ。
8歳と3歳の二人の可愛い娘は、孫にも似た感覚だが、
卒業生の母親Sちゃんの粋な計らいで「玲子さん」と教えている。
毎年、私は小さな子どもの手を引いて、楽しい夜の買い物に行く。
「何でも好きなものをどうぞ」
近くのコンビやスーパーで目を輝かせて「玲子さん、これいい?」
「どうそ」今年はもうひとり3歳も「玲子さんいい?」
ビニール袋にたいした金額でもないのに、
二人とも喜んで、帰り足のつないだ手はありがとうって握り返す感触を感じるし、
「玲子さん」見上げる顔は
二人の卒業生の当時の面影を見る。
「私、幸せ。また、来てね」
「うん、また来るよ」
Kちゃん家族と共に同級生も4人来て、夜は中学生に皆戻った。
久しぶりに飲みたかったM君も寄ってくれた。
「まるで中学生だな」
笑いながら言ったM君の一言がいい。
「そう、私も主人も同じ。あの時の気持ち」
よかったらまた来て。飲める中学生の気分で。
私はこの家族の訪問を「里帰り」と思っている。
来年は3番目をおんぶしようかな。
今北玲子