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2010年4月 アーカイブ

2010年4月22日

18の春

15の春があるように、18の春もある。

3月に入って、3年前の27期生の何人かが進路報告をしてくれた。

いの一番は

K君の北海道教育大、がんばったなあ、と思う。小学生からのつきあいで、心優しい少年です。お父さんの報告のあと、本人からも電話の報告。声を聞いて、握手したくなった。

次はA君の慶応大、超難関法学部、中学1年からのつきあいで、中3で陸上で全国に行くほどの実力と共に、学力も全国レベルだった。当然と言えば、当然のあなたの持てる力、教室に報告に来たときには、肩を叩いて喜んだ。大きな肩になっていた。

男女共学の初年度の仙台二高の女子Sちゃん、東北大工学部合格。3年ぶりに再会。なんて落ち着いたいい女性になったんでしょ。

三人兄弟の2番目、H君、横浜国大合格。国語が苦手で、毎日せっせと過去問をコピーし、作文も苦手だからとほとんど毎日書いた。いい男。長男は塾のアシスタントをしてくれている。丁寧で人気のアシスタントで、末子は今年、第一志望校に合格。

H君、早稲田合格。高校生クラスに籍を置いた。入塾してまもなく、

夫が「あいつは切れるな」と言っていたので、それを伝えると、

「いやあ」と一言。

いつ会っても柔和で謙虚ないい男。

RちゃんもAちゃんも宮城大合格。電話の声は中学生と変わらない。

連絡を寄こしてくれて感激。

皆さんの努力の賜物であります。

 

ご父兄のお母さんから、

「高校になって成績が伸びたのは、

中学の基礎学力がしっかりしているからと、

高校の先生に言われまして、先生、北剏舎のお蔭です」

有難く、頂戴しましたが、

あの当時、自分の実力を見つめて、志望校を下げて合格して、

もしかして、悔しくて、頑張ったのではないかと思う。当時、高校生クラスを受け持ってくれたアシスタントのY君が一生懸命に面倒を見てくれたということもある。

そのJ君も日大合格。

卒舎式のとき、心配そうな顔していたから嬉しい。J君のお母さんにはいつもあたたかい手紙をいただき、逆に私たちが励まされたことお思い出しました。

 

合格は、その生徒が人知れず、頑張った。大学入試はそれに尽きますね。

 

今年最後の一人、A子ちゃんが多磨美大、合格。母娘で報告にこられた。

会うなり、

「先生に会うと、泣いてしまって・・・」とお母さん。

中浪したけれど、前年の志望校に振られ、懸命に高校の3年間勉強したけれどまた、大学に振られ、決まった。

お母さんが泣くのはわかる。

本人もつらいが、親もつらかったと思う。

「よかった、やっと春ですね」

足踏みした2年は切ない。

特に15才のときは、同級生は皆高校生になって、独りぼっちの娘に1年寄り添うのは

切なかったろうと思う。

A子ちゃんのお母さんの涙は美しいな、ともらい泣きした。

娘が笑顔になるとき、15才の娘の不憫な思い出の涙が出るのだと思う。

これからもある。

大学卒業のとき、就職のとき、婚約のとき、結婚のとき、孫が生まれたとき、

よかった、あなたが幸せになれて・・・泣くのだろうと思う。

何度でも泣いてください。

いいですよね、わが子の笑顔に心底うれしくて泣けるなんて。

「先生に・・・・・・これ」

A子ちゃんが夫に日本酒を置いていった。

(A子の夢)とラベルに記されていた。自分と同じ名前のお酒を見つけたのだ。

「この子が自分で選んだものなので」

恐縮至極ですが、いただいた。

 「あなたの夢」をいただくとは素敵です。

 

塾のよしあしで成績があがるものではないような気がする。

やりとげる皆さんが偉い。きっと、どこの塾に行っても合格したのだろうと思う。

受かった人がよくやりましたんです。

 

高校生クラスからも実践女子短大合格のYちゃん。

高校生からの入塾。小論文を毎週、書き続けた。はじめは400字、徐々に

800字はなんでもなく書くようになり、腕を上げた。

合格は嬉しいことでした。

福島大のAちゃんも高校生からで、下の弟が入塾してしてから知り合った。

賢い女性で忘れられない。

Aちゃんの言葉をお母さんから聞いたことがある。

受験は大変だろうとお母さんが労ったら、

「私は勉強だけしていればいいんだから大変じゃない」

つい、書きとめた。

受験生がいれば、家の中に合否を案じるピリッとしたものが生まれたりする。

しかし、Aちゃんは大学進学を許してくれる幸福な立場をよく知っていて、

憂うことなくひたすら勉強したからこその言葉だと思う。

合格は当然ですが、これはなかなか言えない。

「家事をするだけですから大変ではないです」

言ってみたいものですが、言えそうもありません。

大変だ、疲れた、面倒くさい、禁句にしているが、

心の中では

途切れない禽獣しっぽのように、つぶやいている。

何度も戒めるが、

しっぽは、切っても切ってもなくなることはなくて

だらしない私だからですが、

台所に立つたび、(ああ、また食事の支度か!)

ため息まじりで『大変だな』のしっぽに飲まれてしまう。

Aちゃんの言葉は、18才なのに憂いのない神託に思えて感心してしまいました。

こうありたいものです。

 

それぞれの18才のそれぞれの生活が始まる。

18の春を歩くんですね。合格した方はおめでとう。

今年は予備校のみなさん、自分と勉強に向き合って志望大学に向けて

夢中で暮らしてください。

来年の3月、お待ちしています。

 

18才か、いろんなことあるんだろうな。

19の春に夫と出会った。

思い出すと、風が光って見えたっけ。

Reiko

 

 

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