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2015年1月 アーカイブ

2015年1月 9日

2015・1月

1月1日
元旦の朝はいつもと違う。
まっさらな気分になれる。

静かに
ただ静かに、横たわっている今年という時間が、
空の向こうに広がって、
去年のだらしない自分も、
怠けた自分も
今年こそは
努力の人になれそうな、
新しさが滑り出すような、
清々とした気分がする。

朝寝して、さてと、おせちの準備をする前に、
今年さん!
あけましておめでとうございますっ。
勝手口の戸を開けて、首だけ出してご挨拶。

小雪が北風に舞っていた。
「今年の神様、
どうかよろしくお願いします。
塾に通ってきてくれる小学生や中学生、高校生のために、
夫婦で、がんばれますように」

そして、塾生の皆さん、
「今年という神様」は
八百万の神々の中でも、
鷹揚で、のんきで、
いくら反省と懺悔を繰り返しても、
「まあ、いい。去年は終わったのだし、
今年、頑張ればいいではないか」
人柄の申し分のない、水に流してくれる神様のような気がします。

小学生や中1、中2の皆さん。
去年は勉強しなかったな、
水に流しましょ。

そして、中3の皆さん、
年が明けました。あと少しです。
去年の悔い、同じく水に流しましょ。
これから、あと3ヶ月、
笑顔の合格まで、
一緒に行きましょ。


1月2日
卒業生が夕方にやってくる。
いの一番はK君、
毎年、高校の同窓会の前に寄ってくれる。
「塾は我が家」とチラシに書いてくれたことがある。
甥も入塾した。
その甥が、板前の修業中と聞いていたから、
気になって、
「がんばってる?」
「頑張っているみたいです」
よかった。
「あなたはげんきだった?」
「なんとかやっています」
「飲めや」夫の声に
はい、というK君と3人で乾杯して
赤い顔して、高校の同窓会に向かって行った。
ありがと。

「こんばんは」
1期生のN君、O君、Y君、
毎年、ありがとな、夫が嬉しそう。
私も、
ほんとにありがと。毎年、欠かさず来てくれてほんとにありがと。
恒例のように1期生がやってきてくれることは感謝以外の何ものでもない。
それぞれに家族がいるだろうに、
2日は欠かさず、来てくれる。

毎年のことながら、
夫は昨年の世相、学校の様子、
塾生のあれこれ、
嬉しかったこと、楽しかったことを話す。
1期生の面々は、
言われても、名前も顔も知らない塾生のことを
家族のように、親友のように、
親身に聞いてくれる。

我が家の喜びも悲しみも見てきてくれた人たちで、
何でも話せるし、甘えることができる。
家族の柱として、社会の中堅として、
自分だって、つらいこともあるだろうに、
うんうん、と夫の話を聞いてくれる。
心優しく、強い男たち。

そして、
毎年来てくれる8期生が何人かいる。
今年はひとり参加のK君。
私が
鍋に戸惑っていまして、それは毎年のことなのですが、
「代わってくれる?」
つい言ってしまった。
「いいですよ」
代わってもらった。

材料を入れる、ほどよい間合い、
絶妙で手際良くて、うまいこと、うまいこと。
なんと空いた皿も片づけて、洗ってくれた。
「来年も、やってくれる?」
いいですよ。
やっほー
交渉、成立。
K君、ありがと。

8期生の
K君夫婦、、元気?
M君、今年はインフルエンザで会えなくて残念。
今年もちらし、よろしくお願い致します。
M君、なんとか1月末まで資料を渡せるようがんばります。
あなたがいてくれることで
どれほど安堵して暮らせることか。

卒業生の皆さん、
2日の夜、
今北先生の所では新年会をやってるんだって。
行ってみようかな、と思われる方はいつでもどうぞ。
愚痴でもなんでも、聞いてくれる強くて、
開塾ひとけたの先輩、優しい人たちがいます。


1月8日
梅干しを断ちました。
日に何個も食べる、恋しい方ですが、
好きなものを断たないと本気の応援ができない気がして。

1月11日
T君の結婚式。

昨年、
「今の僕があるのは今北先生のお蔭です」
披露宴の招待状を持って来たT君が
落ち着いた素敵な伴侶となる女性を教室に連れて来て言った。

そんな、
それはあなたの努力であり、
高3のときに、専門学校を受けるという相談を受けた夫が
あなたのそばにいただけです。
でも、
「今北先生に教えてもらえなかったら、今の自分はないんです」
譲らなかった。

高校を卒業して、専門学校を受験したい。
そういう卒業生の相談は今までもあった。
一般常識の類の問題を夫は用意したことは私も覚えている。
でも
それだけで、
私たちは何もしていない。
感謝されることは何もしていない。
あなたの努力、それに尽きる。
恩と感じる。それは、あなたの謙虚な人柄の素晴らしさです。

K君の結婚式が始まった。

卒業生の結婚式とはどういうのだろう。
親でもない、子でもない、
親友でもないのに私たちがそこにいる。
学校の教師でもないのに
恩師というにはもったいなくも恥ずかしいけれど、
人生の節目に、そこにいるというのは感動する。

「祝いの席に涙は禁物」
これが守れない。

数年前の
デイズニーランドのアンバサダーホテルの披露宴を思い出した。
「今北先生、挨拶は時間、関係なく、喋ってください」
卒業生の花婿のPさん。
そうもいかないだろ、他に来賓もいらっしゃるしな、と夫。
私もそう思った。
が、本当に、そうだった。

両家の親友も学校の恩師もいなかった。
親族以外はだれもいなかった。
部外者は私たちだけだった。
デイズニー大好きのPさんが、デイズニーランドに就職して、
これまたデイズニー大好きな、かわいい彼女と知り合って、
デートはすべてデイズニーランドという写真が
披露宴会場のドアに飾られていて、
お祝いに駆け付けた
ミッキーとミニーちゃんに囲まれて
二人ともずっとずっと笑っていた。
一人で子ども3人を育てたお母さんに、
「今北先生にはあの子の父親みたいにしてもらってお世話になって」
いつも若々しくて、愚痴一つこぼさないお母さんに
言われて、
とんでもない、と夫が恐縮しきり。
アシスタントをしてくれたり、塾生にとたくさんのデイズニーグッズを
もらったり、お世話になったのは私たちです

「玲子先生、見て下さい。あの子、小さい頃から、
デイズニー大好きだから、新郎があんなに笑うなんてね」
3人兄弟の末っ子は笑いっぱなし、子どものような笑顔に、
お母さんも笑っていらした。
よかったね、うれし涙があふれた。

明治神宮の厳粛な、1期生のM君のお式と披露宴も思い出した。
この日も、内輪だけの、親族に混ぜてもらった。

見上げると、
神域の神宮の森に
巨木の神々が鎮座しておられた。

赤い番傘を差した、神前に向かって歩く、白無垢の花嫁の
うしろを、
玉砂利を一歩一歩、私たちも歩いた。
厳かな気持ちだった。

M君はなんといっても、開塾の恩人と言えるご家族。
「今北先生は絶対に、塾を開いたほうがいい」
M君のお母さんは言ってくれて、開塾の資金にと大枚を持ってこられた。
丁重にそれだけはお断りしたが、
そう言いきってくれなかったら、
塾はしていなかったと思う。

大恩人のご家族の、母上の大切な、長男M君が結婚する。
それも運命の出会いのような、聡明な女性があなたの横にいる。
それはそれは、
二人の隣にいることが、
嬉しくて、
涙が止まらなかった。

結婚式に呼ばれると、
知りあった、10代のあの顔、横顔、背中、いろんなことを思い出す。
しみじみと過ぎた時間が脳裏にやってくる。
あなたが困った時も、楽しい時も、
共に生きる、愛する人があなたのそばにいる。
よかったなって心から想う。
あったかいあなたの幸福に包まれる。

これまでの結婚式をひとつひとつ、思いだし、
K君の、二人とも大好きなジブリ満載の、
トトロが祝福の、
幸福の隣は、
極上でした。

1月27日
中3はしんと、黙々と誰も顔をあげない。
明日から私立が始まる。
ぴりっとした空気に、夫も授業に熱がこもる。

はじめての経験に不安は膨らんでいるような、
あれもこれも、気になるようだ。
質問を持って、次々と中3が夫の所に来る。、
ページをめくる音がする。

「中3の私立が始まるんだ。静かにしろ」
中2も、来年は我が身と口をつぐむ。
教室の音が消える。

8時、中3の授業が終わった。
中3のみんなはなかなか帰らない。
8時10分、まだいる。
8時20分、
ご父兄から電話が入った。
「まだ塾ですか?」
「今帰るところです」
明日の、初めての入試は親にとっても
緊張は同じです。

やっと三々五々に、帰る支度。
どの顔もこわばっている。

「玲子先生、俺、明日起きられますか」
大丈夫です。
「脳が働くのって3時間まえだから、5時におきたほうがいいですよね」
無理しなくていいよ。
「明日の朝は、納豆食べた方がいいですよね」
「ねばれるじゃないですか」
食べなさい。いいかもね。
「仙石線のホームってどの辺ですか」
仙台駅に着いてわからなかったら聞きなさい。
「玲子先生、高校生になれますよね」
なれます。
夫が
「みんな、高校生になれる。
どうしても不安だったら、電話してこい」
「あたし、しようかな」
いいよ。何時でも。

みんな、ふるえている。
抱きしめてやりたいけれど、

ひとりで行くしかない。

しっかりやんなさいよ。
それしか言えない。

帰りがけに、
小学生からいるH君が、
「みんなー、明日はがんばろう!!」
声を張り上げて、拳をあげた。

これを言いたくて、帰らずに、タイミングをはかっていたの?
ええ、まあ。
ありがと。
健闘、祈ります。
玲子
























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