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2019年5月 アーカイブ

2019年5月31日

2019年から2020年

すっかり、このブログを更新したと思っていました。
2020、4月になって気がついた次第です。


2019
4月、
中1はきらきら、わくわくの顔をしている。
新しい制服もぱりっと美しい。

中2は1年前のきらきらは落ち着き、
学校生活にも慣れるが、受験には遠いし、
部活には先輩がいるし、
それでも
14歳は確実に大人に近づいている感じはする。

中3は皆の顔立ちが去年とは違う。
入試の不安を、まとっている感じ。
「1ページでもやれ。
それが明日につながるんだ」
夫の気合に頷く。
この1年、全員合格を目指して、乗り切ってほしい。

5月
小4のEちゃんが入塾。
桜が丘から北仙台まで、バスで通うとのこと。
10歳のEちゃんがちゃんと北仙台経由のバスに乗ってこれるか。
塾に現れるまで心配。

初日、授業が始まる4時半、来ない。
どうした?
4時50分、
教室のドアが勢いよく開いて、
Eちゃんが入って来た。

「いらっしゃい。遅かったね」
返事がない。息遣いが荒い。赤い顔をしている。汗だくといった感じ。
「どうしたの?」
「バスが違っていて」
「まちがえたの?」
「はい、それに気がついて、降りて」
「どこで?」
「......」
「景色が違ったのね?」
「だから、降りて」
「どうしたの?」
「......歩いてきました」

降車した停留所はわからなかったが、北仙台経由ではなく、
山元町経由に乗ってしまったらしい。
気がついて降りて、
北山あたりから、北仙台まで歩いてきたようだ。

てくてく北山から
小学4年生の足で歩くのは大変だったろう。
えらかったね。
「塾に遅れてすみませんでした」
礼儀正しい。

Eちゃんの面談の時のことを思い出した。
前に通っていた塾では、
レベルが上がると(テストかもしれないが)
ご褒美がでたとのこと。
「この塾ではそういうの、ありますか?」
Eちゃんが言っていたことを思いだした。
その時は、
「ごめんね。ここではレベルがあがるとか、ご褒美とかそれはないの。
でもかるたで一番取ったら、塾のシールをあげます。
10枚たまったら、ノート1冊です」
ふーん、という顔をしていたことを思い出した。

「一生懸命に歩いたのね。違う景色に気がついたのもえらかったね」
うん。
「前の塾みたいなのはないけれど、私が集めた消しゴム、あげる」

ちっちゃな消しゴムの入った箱を開けた。
「わー!わー!」
汗だくのEちゃんの顔がぱっと輝いた。

こんなに喜んでもらうとは嬉しい限り。
「どれにしようかな。これと、これと、これもいいけど、これもいいな」
箱からどんどん消しゴムを取り出した。

「今日はひとつね」
「わかってます。これは候補です」
なるほど。
候補の消しゴミが4つ並んだ。
悩んだん末、一つ、決まった。

1週間後、次の授業の日。
またバスを間違えたりしないかと心配になった。

ああ、4時半になっても来ない。
また、間違えて歩いているのだろうか。

やっとEちゃん到着。
「どうしたの? また、間違えた?」

かいつまんでのEちゃんの話。

景色が違ったので降りたんだけど、
歩いたのでは先週みたいに塾の時間には間に合わないから、
派出所があったから、入って、
塾に遅れるからと話したら、お巡りさんに送ってもらった由。

機転がきく。

夫がよく子供たちに言っている。
「教科書を忘れたら仕方がない。宿題をやってこなかったのも仕方がない。
そのあとだ。
ぼやっとしてないで、考えろ。
友達に見せてもらう、塾のテキストを借りる、
忘れた宿題をすぐにやる。
いいか、何をしたらいいか、考えろ」

10歳のEちゃんは間違えたらどうするか。
考えたのだろう。
一度目は歩いた。
二度目は歩いても間に合わないのでお巡りさんに頼んだ。

機転と知恵に脱帽。

7月
個人面談が始まった。

普段の塾の様子を話し、
ご父兄からは塾への要望、子どもさんの様子を話してもらう。

今回、ご父兄からの相談が多かったのは、
ゲームである。
今までは、いちに成績、にに成績、さんしがなくて五に成績、
最近は違う。
いちに成績は、変わらないが、にに、ゲーム。

塾がなかったら家では全く勉強しない。
暇さえあれば、ゲーム三昧。
どうしたらいいか。
与えてしまった親も悪いのだが、
そう言いながら、
困っている家族は多い。

楽しくて仕方がない。
やめられない。
ゲームにのめりこんでいる子供たちは増えている。

時間を決めるか。
試験前は預かるか。
成績が下がったら没収。
いろいろ試しても、子どもたちをゲームから遠ざけるのは至難の業のようだ。
ゲーム中毒になりはしないか。
深刻な親御さんもいたので、
ゲーム世代に聞いてみた。

高校生クラスの高1,2,3
アシスタントの18歳から22歳まで、ゲームについて。

「中学時代は定期試験前になると無性にやりたくなりましたね」
「当たり前にやっていました」
「親がいないときは必ずしていました」
「5時間はしていました」

「でも、中3になってこれでは志望校に合格できないとやめました」

それで、今は?まだ、しているの?

「ほとんどやっていません」
「中学生の時はやめられませんでしたけど、
今はやろうと思わなくて。もっと楽しいことが高校生にはあるんで」

ということは、中学生だからゲームをやるの?
......ですね。
全員。

親がゲーム中毒になりはしないかと案じている、
本人に聞いてみた。

「ゲームはどのくらいしてるの?」
「少しです」
「5時間?」
「たまには。
でも、ほかにもやることありますから」
なに?
「列車に乗ったり」

そうだ。
お父さんは乗り鉄、夫の乗り鉄とはけた違いの筋金入りの
乗り鉄と親の会で知ったばかりだ。博識のある、いいお父さんだ。
「お父さん、すごいね」
「すごいです」
「近々、お父さんと一緒に行くの?」
「いえ、一人で行きます」
夫が話を聞きつけて話に入ってきた。
「どこだ?」
そこから先は私にはちんぷんかんぷん、石巻線に乗って女川、そこから
何とか線に乗って、新庄......、それから......」

ゲームもするけど、違う世界を持っている少年に
安心した。

ほかの中学生にも聞いてみた。
「親が心配するほどのめりこんではいませんよ」
そっか。
鵜呑みにするわけではないけれど、
ゲーム依存は
子どもの成長とともに変わるのかもしれない。

8月
夏期講習も終わり、デイキャンプ。
夏空が広がっていた。
中1から中3までが参加。

会津の菅さんを講師に、小枝鉛筆と埴輪を作った。
掌で土を転がし、埴輪の表情はそれぞれ、
当然ながら、同じものは一つもない。

古墳カレーを作り、広場で野球をした。
むんむんとした夏の息に汗だくになり、
皆、怪我もなく、無事にキャンプを終えた。
塾の前で五本締めをして
子どもたちは帰っていった。
大切なお子さんを預かった。
何事もなく終わって安堵。

9月
夏休みが明けると、定期試験はすぐです。
土日の補講、毎日来る生徒が多くなる。

土曜日の午後、教室は満杯。
最長6時間いるもいる。
でも皆がそうとはいかない。
最低でも2時間は勉強するように言ってあるので、
それを過ぎると
「時間なんで帰っていいですか」毎度、K君が言う。

そのたびに、夫が
「時間だから帰るって、頼まれてきてんのか。
暗唱したか。学校のワークはもう終わったのか」
「まだです」
「予定でもあるのか」
「ないです」
「あと少しやって行け。なっ」

毎度そう言われてしぶしぶ残るそのK君が、です。
今日は、
「残って暗唱していきます」
うれしくなった。

しばらくしてK君が暗唱したので聞いてください。
私の前に来た。
和訳を見て英文を暗唱がすらすらです。
よくできている。
K君の頭を撫でたい気分。

やる気のある時はこちらも欲が出る。

「教科書の例文に、K君、答えてみて」

Are    you    twelve?

No.

つい日本語で、
あら、12歳じゃなかったっけ?
いえ、今日、誕生日なんで、13歳です。

「それはそれは、お誕生日おめでとう」
近くにいた友達の何人かも聞きつけて
「おめでとう」

歌いましょか。
私が言うと、
Happy  birthday   to  you.
Happy  birthday   to  you.
Happy  birthday   dear K君。♪


13年前の今日、K君は生まれたんだな、と思うと感動します。
親なら、その日のことを鮮やかに覚えている。

あの日、こんな風が吹いていた。こんな匂いだった。
雨だった。雪だった。
寒い日だった。暑い日だった。

K君のお母さんも今日、思っているだろう。
そして、1年、2年、そうK君は、13年も経ったんですね。
周囲を見ると、わが子誕生の感動に包まれた子供たちが
教室にいっぱいになっている。
親でもないのに、この子どもたちの前に私たちがいるのだから
少しでも役に立たなきゃって思う。


11月
恒例の高校説明会。
高1を招いて、自分の学校がどんな高校なのか。
志望校に合格するためにはどんな1年を過ごしたか。
中3とご父兄に聞いてもらう。
今年も部活と重なって参加できない生徒はいたが、
ほぼ9割の高1がきてくれた。

高1から去年を振り返ってくれた。

「毎日塾に来て勉強しました。みんなも来た方がいい」
「英語の長文は高校になっても役に立っている」
「学校の先生には志望校は下げた方がいいと言われたけど、
今北先生が
下げなくていい。そう言ってくれたので、受けたら合格しました。
自分がどうしても受けたかったら受けた方がいいと思います」

その後、
中3が日誌に感想を書いてくれた。

「高校説明会を聞いて、自分の足りないことを実感しました。
毎日学校から帰ったら、すぐ塾に来て10時10分まで勉強します。
私に1ミリでも合格のできる可能性があるなら、諦めたくない気持ちが
一層強くなりました。
最後まで食らいつきたいです」

「今日の説明会で分かりました。
周りに流されず、自分の気持ちを大切にすること。
今まで、周りに影響されていた自分を見つめなおそうと思いました。
本当の自分が見えました。
説明会があったからだなと思います。
高校のレベルが高い低い、どうのこうの言うより自分がそれでいいんだと
思えることだと思いました。
自分のペースで考えていきます」

「私は一生懸命に勉強してきたつもりでした。
でも先輩の話を聞いて、
自分は全くやっていなかったことに気がつきました。
焦りと不安でいっぱいになりました。
このままでは試験に落ちて、一生悔しい思いをすると思いました。
そこで、ルールを作りました。
スマホに触らないことです。
スマホに触っていると3時間たっていたこともあります。
スマホは人をだめにします。
受験まで精いっぱい、頑張りたいです」

「先輩から学んだことは悩むことの大切さである。
私にはまだ考える時間がある。先輩たちは志望校を
当日の昼まで悩んだと言っていた。
とはいえ、志望校を簡単に変えたくはない」

「先輩の話を聞いて、進路を選択するには様々な面を考えることが大切だと
思った。通学時間や部活、学力はもちろん、
入学してからのことも考えなければならないと思った。
そして、今の成績、偏差値に満足しないことも大切だということも
しっかり心に留めておきたいと思う。
点数を上げると言っても簡単にできることではないけれど、
残りの時間だけでも努力すればよい結果になることも知った。
先輩方の中にはもともと志望していた学校よりも高い偏差値に
合格した人もいて、、やはり勉強した結果だと感じた。
志望校目指して頑張っていきたい」

「先輩たちは自己管理もしっかりしていたことがわかった。
携帯、テレビ、本、ゲームなど自分の好きなことを制限して、
勉強していたことがわかった。
自分にはまだそれができていないと
反省した。一つの目標に向かって全力で成し遂げるというのは
何かの犠牲が必要なのかなと思った。
私にはまだまだ足りないと思った。
全力でと簡単に言葉にするけれど、それは本当に難しいと思った。
でもだからこそ、本当の意味での全力で成し遂げてみたいと思った。
その先にある景色を見てみたいと思った」

「受験までの勉強方法もひといひとり違っていて、
工夫することが大切だと思った。
ただ問題集を解くだけではなく、年表にしても
自分だけのものを作ることも実践してみようと思う。
現状維持は退化である、という先輩の言葉が心に残った。
また、今の模試の判定に満足せず、努力を重ねることも
向上心を生む大切なことだと知った。
先輩の言葉は受験という大きな壁を越えてきたことの重みや説得力があると
感じた。
一日、一日を大切にして目標に向かって頑張りたい」

「私は自分の経験を中3に伝えられるようになりたい」

「来年は中3の前に座って、自信をもって自分の高校を紹介したいです」

最後に、
「高1の、君たちから中3のご父兄の皆さんに伝えたいことはありますか」

夫の言葉に高1のM君が手を挙げた。

「志望校を下げたいと親に言ったら、
下げなくともいいんじゃないかと反対されました。
でも、力が伴わないのに周囲に流されて、
無理に受けて落ちるより、自分のことを考えて受験したかった。
してよかった。
今の高校にしてよかった。
親の皆さん、
15歳はまだ子どもだけれど、子どもではない。15歳を信じてください」

力強かった。

12月
演芸大会。
小学生から中学生まで楽しいひと時だった。

小6 「簡単」「普通」「難しい」「気持ち悪い」クイズ
   ブラックボックスに手を入れて品物を当てる。
   トロンボーン演奏、笛の演奏

中1 劇「桃太郎」
   (脚本の中1の生徒による)

中2 クイズ
   ギター演奏

中3 劇「塾の授業風景」
  パプリカ ダンス

番外編
小6のT君、中学生のリクエストに応えて、
昨年、大好評だった自作自演の「コカ・コーラ」

58年ぶりの夫のハーモニカ演奏

(演芸大会当日になって、夫がハーマニカを買ってきてほしいというので、
買ってきました。ドは吸うんだっけ。ㇾは吐くんだっけ。
反対でしょ?
吹き方を忘れたかな。おそるおそる吹き始めた。
なんと、ハーモニカを口に当てたら
「草競馬」の音階を覚えていて、間違えなかった。
子ども時代に覚えたものはすごいもんです)

ビンゴをして葉山商店のおにぎりを食べておひらき。

今年もお世話になりました。
怠け者のブログにお付き合いいただき、ありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。

そして、
2020年、
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

玲子

















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