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「大変なことになっていますよ、お母さん」
次男に言われて目の先、手の先を追うと、
テーブルの蜂蜜のビンにいつ現れたのか、
蟻の行列。
一直線に蜂蜜を目指している。

まだ、被害は広がっていない。
ビンの周りだけだろう。
しかし、ふたを開けると
みくびったことを知る。

すでに大勢、蜜の中にいた。

あまりのごちそうに
あまりの蜜の海に
飛び込んだはいいけれど、
動けなくなったアリさんたち・・
こんな宝の山はみたことない、喜んだんだろうなあ。
仲間にも知らせなきゃ・・
でも、友達が動けなくなって
引き返そうか、ビンを登ったり降りたり
言ったりきたりするありもいる。
「危ないですよ」
一度は私の声に振り返るが
蜜の誘惑には勝てそうにもないのがアリの道理。
こつこつ働くアリの生きる道がありましたでしょ。
一時の空き巣狙い。
分相応に質素な暮らしは明るく楽しかったと思いますよ。
欲は一瞬に身を崩す。
見つけた途方もない甘い黄金の誘惑・
楽園の蜜が人生を狂わせたのかしらね。

でも
蜜にとっぷり浮かんだアリさんたちは
幸福そうに見えた。
こんな幸福はない、見たこともない蜜の海を泳いで、たらふく食べて、
さあ帰ろうと思っても手足が動かない。

いいや、それでも、
気が遠くなりそうな幸福だったに違いない。
「ああ、なんて幸せ!」
隣の友達が
「お前も」その隣も
「うん、お前も」

みんなして、ひっくり返って
天を仰いでいた。

蜂蜜大好きだあ、
ここは最高・・思ったんだろうな。

幸福なありさんたち、
次に生まれてくるときには
・・蜂・・だといいね。

蜜から蜜へ飛んで
小さな幸福を重ねてさ。

Reiko

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2008年8月 6日 10:39に投稿されたエントリーのページです。

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