« 18の春 | メイン | 親と子 »

はなびら

散った桜の花びらはどこに行くのだろうか。

風に舞い上がり、どこぞに落ち、或いは人々のお宅にお邪魔して

靴底にくっつき、

ぺしゃんこになる。

 

北仙台駅の階段に桜の花びらが吹きたまっていました。

駅のホームに並ぶ8本の桜の花びらたちでありましょうか。

ほかの花びらはどうしたのか。

線路の脇に落ちるのもあれば、桜本体の滋養に埋もれるのもあれば、

草むらにかくれるものもあるのでしょう。

花びらは風任せであります。、

なかには、池に落ちた花びらは白い雪のように浮かんで、

そのうち、池底に眠る。

 

 次の日、あの階段で吹きたまった花びらがどうしたのか。

北仙台の階段の隅で桜たちはかたまって楽しそうに見えましたし、

あのまま、あそこにいるのか。

それとも風に飛ばされてしまったのだろうか。

 

夕食の支度の最中、気になって

ガスの火を止め、北仙台駅の入場券を買って

急いで階段を登ってみました。

はて、あのかたまった花びらは・・・・・・

いたいた!

もう丸くなって花びらとはいえないのもあったが、

きちっと

「私はさくらです」というものあった。

「うち来る?」

「行く!行く!」

 

テッシュに包んで持ち帰り、

ガラスのコップに薄桃色の花びらを入れてみました。

水桜・・・・・・

花びらはくちゅくちゅと囁いているように思いましたです。

「こんなところに来るとはねえ」「ほんとね」

気のせいか・・・・・・声が聞こえましたです。

 

それから20日たっても、まだ水桜は浮かんでいます。

でも、コップの池でおしゃべりは聞こえなくなりました。

風がないのでぴくりとも動きません。

水桜は耳を澄まして暮らしているようです。

落ちた場所を定めと納得するものなのでしょうか。

静かなもんです。

大樹の桜も見事なものですが、花びら一枚になっても

桜は桜、プライドでしょうか。

コップの池に

ぴたりと浮かんでいます。

 

こんなに長いこと、水に浮かんで生きるのなら、

川に落ちた花びらは流れに沿って、下って、下って

海に出る桜の花びらもあるのかもしれない。

 

あらー!まっ!

わーっ、ここは海ーっ!

 

レイコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

About

2010年5月 4日 22:31に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「18の春」です。

次の投稿は「親と子」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。