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2010年6月 アーカイブ

2010年6月 1日

いい本です。

6月1日

午後、S君がやってきた。

「午前で診療が終わったので、先生にお持ちしました」

リュックからから本を取り出した。

本を書いたのだ。すごいです!夫と感心して、それにわざわざ、

届けに来るなんて、感激していただきました。

「今度、会があるから何冊か持ってきてほしい」と夫が言いましたが、

忙しいのに大変だと思い、

「近くに行く用事があるから、私が取りに行くから」

 すると、まもなくして

S君は本を届けにやってきました。

何度も往復させて申し訳ない気分でした。 

 

本を開くと

「はじめに」・・・

こう書いてありました。

(私は36年間、重度の花粉症でした。・・・中略・・・

そのため、1年を通じて両方の鼻が通っていたことはほとんどありません。

つねに片方の鼻は詰まっていましたし、

両方完全に詰まることもしょっちゅうでした。

鼻が通るのは、寿司に大量のワサビが入っていたときぐらいです。

アレルギーがひどいときは食事をしても味がしないし、

口で呼吸しながら食べるので、

急いで食べなければなりませんでした。

夜寝ているときも口で呼吸をしています。

すると翌朝、口の中が完全に乾いてしまうのです。

舌が完全に乾いてしまうと、舌を動かすことができません。

舌が動かないと水を飲むことができないのです。指で舌を湿らし、

少し動くようになってからうがいをします。

ずっとこのような生活を送っていましたし、それがわたしの日常でした。

食生活を変えることである程度は改善しましたが、

それでも症状は残っていました。

ところが、そんなひどいアレルギーが、今、わたしから消えています。

こころとからだのゆとりある使い方を学び、実践することで消えていったのです)

 

「なにを実践して、消えたのか?」

引き込まれるように読んでしまいました。

読み終わって思いました。

いい本だなあ!

10代にも20代にも

どの世代にも通じる説得力のあるものでした。

医師なら、語彙だって豊富だし、

難解な文章だっていくらでも書けると思うのですが、

誰にでも読めるような、あたたかい文体で読みやすいものでした。

 

著者を知っているというのは説得力があるものです。

本の実践内容と

S君のその人格は嘘偽りのないものでした。

 

S君の診療を何度も受けました。、他の患者さんに対して

どう接しているか、診療室の前の椅子で待っていると、

聞こえてくるのでわかります。

S君は

いつだって、おおらかで、

医師だから言うべきことは言うが、

親切で、明るく、

患者さんの笑い声が必ずといっていいほど、

聞こえてくる。

患者さんの心配そうな声も、S君と話すうちに

笑い声に変わっていく。

それにS君はよく笑う。

偉そうにもしないし、深刻にもならない。

待合室で待つ大勢の患者さんは

S君に会いたくて来ているのではないか。

そう思えるお医者さんです。

だから、本の内容は

毎日、実践しているし、そう生きている、

嘘偽りない、本だと思いました。

 

8期生のK君も

「大きな人ですね」とS君に会った印象を話していました。

S君の書いた本なら、信用できる。

やさしい文章で、冒頭の、重度の花粉症がなぜ、消えたか。

読めばわかります。

 

読み終わってS君に電話しました。

「とってもいい本だった。中学生にも読ませたいね」

「ありがとうございます、そう言っていただけると嬉しいです」

謙虚で静かな声が返ってきた。

話しているうちになんだか泣けてきた。

それは本の素晴らしさだったかもしれない。

 でも、

もうひとつ、

S君の両手を広げて話す、だれともでそんな風にして話す、

身体も大きいけれど、心も大きい。

大空のような人、だからかもしれません。

 

いい本です。 

「からだのゆとり こころのゆとり」

・・・(あなたをつくっているのはあなたです。こころもからだも・・・・・

 

著者 医師 瀬野幸治    文芸社  ¥1000

 

読んでみたい方はご連絡ください。

レイコ

 

 

2010年6月 8日

小枝えんぴつを作ろう

6月5日

福島の会津坂下に元気で愉快なおかしな?いえおもしろい人がいます。

塾をしている菅敬浩さんという人。

 

菅さんは陶芸家でもあり、カメラマンでもあり、最近は

廃校を利用していろんなことをしている。

多彩な芸術家でもあります。

小枝えんぴつもそのひとつ。

 

声が大きく、博学で会った人を笑いに引き込んでしまう。

こんな大人に会ってください。逢わせたい。

それが「小枝えんぴつを作ろう」のきっかけでした。

 私は菅さんと会うのが大好き。気がつくといつも笑ってしまう。

笑わされる。今日も会うなり、

「玲子さん、仙台はあったかいと思って、アロハで来ちゃた。アハハ」

 「寒くないですか?」

「寒いです」

笑っちゃいけないと思いながら、

教室に暖房をいれてさしあげました。

 

さて、小枝でえんぴつをどうやって作るか?

やめておきましょ。

菅さんがどうして小枝えんぴつを作るようなったとか。

小枝を見せながら、

「これはなんの木でしょうか?」

クイズがあったり、

そんなこんながいいんです。

塾の小学生ふたり、このクイズに全問正解でした。

すごい!

うめ、かき、いちょう、りんご、さくら、5本の小枝を

すべて当てました。

ご褒美がユニーク!

これもやめておきましょ。

ばらしたら菅さんに悪いですもんね。

 

小刀を小学生や中学生に持たせるのは

はらはらでした。

開塾当時から何年もえんぴつは自分で削るように

していましたが、とうとう、えんぴつ削りにお世話になることに

したのは、時代でもありました。

ですから、子供たちに

怪我をさせないように、

大汗。

幸い、中学生がひとりだけで、それも浅い切り傷程度で

ほっとしました。

もう一人、

「切ったよ」

夫です。

子供たちを気にするあまり、手元が狂ったようでした。

夫でよござんした!

 

次の日は家族ネットワークでまた、小枝えんぴつ。

こちらは大人で心配はしませんでしたが、

みな、楽しそう。夫婦えんぴつや小枝に飾りをつけたり、

ものを作るというのは愉快なものです。

それに 楽しい人が講師だと楽しくなることってあります。

 

会もなかば頃に、菅さんが、

「高校の先生が簡単な『学』になったからだめになったんだ。

そう言ったんですね。なにを言ってるんだろうと思ってたんです。

最近、漢字の意味を知って30年ぶりにその先生が言ったことが

わかった。

字源では両方の手をこうしっかりにぎってその下で子どもを守る。

やっとその先生の言っていることがわかった。

今は難しい字をやめて簡単になったからだめになったんだ、

(教育の)意味がわかんなくなってしまった。

その先生はいろんなことを勉強してたんですね。だから言えたんですね。

・・・中略・・・

どこの高校に何人入ったとか、そういうことじゃなくて

教えるってことは、教えるその人間が

真剣にまなんでいかなきゃなんないと思うんです」

(たぶん、こんな話でした)

 

菅さんは

ときには小枝えんぴつだったり、

陶芸だったり、真剣にやっているから

まなぶって楽しいぞって

笑いもうまれる。(ユーモアは天性かもしれないですが・・・)

 

次の週、小学生の授業のとき、

 「先生、小枝えんぴつを授業で使ってもいい?」

「いいよ」

「やめた、もったいない!」

出したえんぴつを筆箱にそっとしまった。

 自分で作ったものを使うも使わないのも自由。

でも、作ったときの気持ちは残る。

 だから、小枝えんぴつを作るのはいいのだろうと思う

市販の文房具ではない。

小枝を見つめて、これはうめの木、これはさくら、

削ってみればかたい木だとか、

やわらかい木だとかを知る。

握ってみてこの太さなら、この細さなら

感触と好みで選んだのだから

当然、もったいない。

それが小枝えんぴつ作りの

うれし楽し、の本当の秘伝?

秘密だろうと思う。

REIKO

 

 

 

 

 

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