中1のR君のお母さんは嬉しそうに言った。
「本当にありがとうございました。先生のおかげです」
R君は5教科の合計が400点を越えた。
子どもの笑顔も嬉しいが親御さんの笑顔も格別です。
「真面目にこちらの言うことを聞いてくれたから、
私達も嬉しいですよ」
にこにこしながらR君のお母さんは楽しそうに言った。
「上に姉がいますが、
テストの点数は悪くてね。でも、点数が悪くとも高校には何とか
行きましたし。何とかなるもんですよね。
お金がなくとも何とかなりますしね」
アハハ。
「それが今回のテストを息子から見せられて
あんまりいい点数だから、私、電卓で1教科ずつ足し算したら
400点越してる。
わあ!すごいねえ!すごいねえ!褒めました。
私の家族では夢の世界の点数で
涙が出ました」
アハハ。
R君はお母さんにあんな風に言われたら気持ちが良かったに違いない。
自分のとった点数を喜んでくれる親の姿は心から嬉しいはずだ。
R君は寡黙だが、落ち着いた少年で、友達にも優しいし、
自慢することもない。
そうね、家に帰ったらあんなにR君のことを喜んでくれるお母さんがいる。
すさむことはないね。
母からあなたはすごい!賞賛の言葉を聞き、
うれし涙の母を
照れくさそうに見ていたR君が想像できる。
「本当に先生のおかげです」
私達もR君のお母さんに褒められて嬉しくなった。
子どもに感謝すること。誰かに「ありがとう」
周囲を不思議と元気にする。
今北玲子