« 今日という日 | メイン | 昨夜・ブログの事故 »

オンブズマン支援企画10 By 小袁治師匠

11月8日
市民オンブズマン主催「今年も笑っていただきます」。
十月に20周年の独演会を終えたばかりの師匠に再会.

初音家左吉さんに笑い、柳家紫文さんの粋な三味線と不思議な笑い。
さて、最後の演目。
芝浜が始まった。
引き込まれ、重ねた手に力が入って、
高座に釘付け。
芝浜、クライマックスの女房の台詞。
師匠は女房になりきり、泣いた。
右隣の女性が泣いている。左隣の女性も泣いていた。
私も泣いてしまった。

ふと浮かんだ。
毎年、春になると桜の開花を待って小学生に話す話。
上野動物園の象さん。「かわいそうなぞう」土家由岐雄・作
戦争で犠牲にされたいたいけな大きな象の話を子供達の心に覚えて欲しい。
戦争は二度としてはいけない。

私は春に決まって読むことにしていた。でも、この話をすると泣くまいと誓うが、泣いてしまう。
ある年の春。正直な小学生が言った。
「玲子先生が泣くともっと悲しくなる。だからよけいに泣いちゃった」

悪いと思った。泣かずに話せばよかった。
泣かないために練習をした。でも、いざ、話はじめると泣いてしまう。
私の話術では伝わらない。
5年ほど前、象さんの話はやめた。

師匠の高座の涙を見て思った。すごい!さすが!何もかもこちらに伝わる。
誰かを思う涙だってなんだろう。
心がふるえるから泣くのだ。
師匠のように素晴らしくできなくても下手でもいいか。
来春、また、話してみようかな。思わぬ元気を頂いた。

師匠の芝浜はあったかかった。
ごめんなさい。泣いてしまうんだ。お人柄の優しさは長年おつきあいでわかる。
師匠の声がしそうだ。
今、目の前で泣いているのは小袁治師匠ではない。
亭主を案ずる優しい女房。私の知っている師匠はどこかに行って
もはや、女房がそこにいるとしか思えなかった。
師匠の話芸!涙に女房が降りてきて、
戦災復興記念館・満席の客は人情に泣きました。
気持ちのいい涙はあるもんです。
今北玲子

About

2007年11月10日 00:38に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「今日という日」です。

次の投稿は「昨夜・ブログの事故」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。