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ミックスジュース

定期試験前で中学生が大勢いる。普段はいない中学生と小学生の授業が
バッテイングして、「お兄さんお姉さん方が必死に勉強しているから静かにね!」
「はい」
「はい、がってんだあ!」小学生のKクン。小4は国語、小5は算数。
中学生の試験勉強のために教室を二分した。小5はわきまえて静かに
勉強しているが、小4は・・・・
静かに問題を解きなさいって言っているのに漢字の問題に頭を抱えた。
「これ、知っているんだ。絶対知っている。玲子先生・
待ってて!今、思い出すからうーん・・・
何で出てこないんだんだよー!」

カンケイ・・・漢字で書きなさい。

そんなの関係ない・そんなの関係ない・玲子先生やってみてもいい?
コジマヨシオやってもいい?
どうぞ!
そんなの関係ない・そんなの関係ない・
ヘタコイター!

だめだ。出てこない。

中学生は、くすくす、くっくっ、笑いをこらえはじめた。
「やっぱり辞書貸して。」
「どうぞ」
「オレ、塾に入って辞書好きになったもんね。ねえ、玲子先生・
オレ、辞書好きだもんね。頭よくなるし」
いい子だねえ、Kクン!頭なでてもいい?
「だめ!なでていいのは一人だけだから」
「そうか(お母さんか)ごめんね、
じゃあ、もうTちゃんは今日の予定が終わっているから
Tちゃんの頭をなでてもいい?」
「いいよ、玲子先生」
Kクン
「少しだけならいいよ」
Tちゃん
「結局。なでてほしいじゃん」
「ちがうよ、ちょっとって言ってんだろ?」
いい子です、Kクン、Tちゃん
「辞書取ってくるよ」
Kクンは席を立ったら歩けばいいのに、走って自分のかばんにひっかって転んだ。
痛えなあ、痛え、
玲子先生、怪我した!見て!
同じ学年のTちゃん
「この間の古い傷、玲子先生に見せてんじゃないよ、あんた、いつだって
傷だらけじゃん」
「ばれたか!」

中学生のくすくす、くっくっ、
忍び笑いは伝染し、広がる。


K君ははたと気がついた。自分の両足見てあれっ?
ブルーと白の片方ずつの靴下。
「玲子先生、いいよね、この組み合わせ。靴下に間違いないでしょ?」
「いいよ、赤でも白でもピンクでもブルーでも、両方同じ色じゃなくとも
靴下に変わりはない、いいよ」
「だよね・・いいよね」

Kクン
「オレ、まじめに辞書とお笑いを見ようっと。関係ないは漢字の勉強になるもんね。
玲子先生、書けるようにするから」
そうね・

そこにいた教室半分の中学生は腹に手を押さえ、声を殺して笑っている。
玲子先生・笑ってすみません。
だって、おかしすぎるよ、あいつ、おもしれえよ、
マジ!(ストレス解消)・マジ!おもしれえ・
小学生っておもしれえ。

小学生と中学生
同じ空間にいると
忘れかけた小学生の幼さと陽気、
いずれ、自分もあんな風になるのか予想図・
塾はミックス空間。

私はミックスジュースが好きです。
果物のみんなの味がして
楽しい味がする。
今北玲子

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2008年2月13日 21:52に投稿されたエントリーのページです。

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