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バレンタイン

塾に入ろうとしたら、背中で呼び止められた。
「玲子先生。ああここで会えてよかった。」
T君とAちゃんのお母さん。
「玲子先生に!これ」
まあ、チョコですか!
生まれて初めてバレンタインに男性でもないのにチョコいただいた。

私はご父兄に何かいただくと恐縮する。お月謝いただいているのに
申し訳なくて。
贈答ご辞退申し上げます、と暮らしたいと思っていて、
だいぶだいぶ前のことだが、いただいたらお返しするほど凝り固まった律儀を通していた。
それがある日、
大家さんの長男の結婚式でのこと。
司会は小袁治師匠で楽しく品のある名司会を右耳で聞き、
もう片方左耳で隣の席の大家さんの話を聞いていた。
「玲子先生、俺はさ、勉強は教えられなかったけど、息子に教えたことがあんのっしゃ。」
「何ですか?」
「人様がくれるものはもらわい。でも、決してくれろ、だの、欲しいだのって言うな!ってね」
なんだかすとんと私の律儀が落ちた。

以後、私は大家さんの教えに従うことにした。
今日もありがたく、
日ごろの気持ちとおっしゃるKさんのお母さんのあたたかいお気持ちをいただくことにした。
今日はバレンタイン、心のどこかでお菓子屋の陰謀、乗るまいと警戒していたが、
誰かにもらえば嬉しいし、ひとつももらわないのも寂しい.
受験で疲れている中3にあげたいな。
くれ!とは言わない中3にはあげよう。男子でけでなく女の子にだってあげよう。

「私の気持ちチョコ」
両手伸ばして「すいません、アザーッス」
喜ぶ笑顔はこちらも嬉しい。
「人様にいただいたら、もらわい!
決して・くれ・とは言うな」
渡世の仁義は
バレンタインの男心と似ている?・・・

中3の皆さん、
あとわずかの高校入試は別です・
大丈夫かな?不安はやめて
ほしい、合格ほしい!
ストレートに遠慮なく
これだけを一心に願いなさいね。

努力したし、いい子です。
何かほしいとは言いませんから
中3のこの子達に合格をお願いします。
祈る。
祈りは一人より二人、二人より三人、
人数が多いと大きな祈りになって届く・・・大好きな大津の義母に教えてもらった。
今北玲子

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2008年2月14日 23:15に投稿されたエントリーのページです。

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