推薦で合格が決まった生徒でも公立入試まで全員、授業は受ける。
合格が決まったらのんびりとしたいと思うが、
教室が一人欠け、二人欠け、自分の合格が決まればそれでいい、というのは
さびしい。
何かのご縁で出会ったのだ。
最後まで一緒に勉強するのは心が通う気がする。
今年も塾の方針をわかってくれて
連日、中3が教室にいる。
作文書きましょ・
公立高校入試は200字程度の作文がある。
「好きな言葉」過去に出題された題だが、
練習・です・書いてみましょ・
小学生からの入塾のS君の作文の一節。
「自分では不安な仕事を任されて母に相談したら
『すべてはうまくいっている』
この言葉のおかげで僕は一生懸命にやろうと思った」
いい言葉!
「すべてはうまくいっている」
母に言われた言葉に気持ちは
上向きになっただろう。
S君に
「この作文を読んでもいい?」
「はい」
中3のみんなに紹介した。
「すべてはうまくいっている・S君のお母さんの言葉はなんていいんでしょ?
きっとあなたたちもS君のお母さんの言葉とおりにうまくいきます」
S君は私をまっすぐに見ていた。
母の言葉を紹介されて、
晴れ晴れと笑っていた。
私もS君と同じようにまっすぐに皆を見た。
すべてはうまくいっている。きっと、全員合格です。願った。
もうひとり、この中のI君の父君の言葉が思い出された。
最後の公立高を決める面談の時・
「息子が志望校を受けて不合格だったら、俺に任せろ・・・
親だからなんとかする・・あとのことは心配するな!今北先生、息子に言いました
ですから、息子の受けたい高校を受けさせてください。後のことは私がなんとでもします」
まっすぐに言い切った。
もう、子どもじゃないから
よしよし・・
抱いてやれないが、
15歳の不安な心は抱かれる。
親心は子どもの数だけある。
わが子が
愛しくて愛しくて・・・
でも、幸福はただひとつ、
愛するわが子が笑っていれば
何もいらない。
今北玲子