市内の中学校は23日から
順次、定期試験が始まる。
26日、27日がピーク。
2期になったから、3期より試験の数を減らされて
まさに内申に評点が影響するから、
気が抜けない。
子供たちは事の重大さに気がついていない。
年に中間期末、6回・あったものが4回になる・
中3にとっては年明けの学年末は反映されない。だから、3回だ。
たった3回で内申が決まる怖さがある。
私たちの気持ちとは・・お構いなしに・・
子供たちはのんきだ。
夫は試験前ともなると教室を駆け回る。
塾だから、
点数は1点でも多く取ってもらいたい。
取れないわけじゃないのに
適当に済ませて帰ろうとする子を夫は勘で呼び止める。
「地道にやれよ」
「途中の計算は省くな」
できる子には
「もう1回、やれ」
「ねばれよ」
「基本に戻れ」
「わかった振りするな」
ゲキ飛ばし、
走り回る。
「お前はよくやったな。ごくろうさま。明日も来いな」
ねぎらわれる子もいる。
夫は
やる気のない子、懸命にやっている子、
顔を見てその子のその日のメニューを決める。
できるのに適当な子は喝!
汗だく。
子供の顔を見る、
鉛筆の持ち方を見る、
字の汚さを見て
「自分の字を愛せよ」
夫は
「勉強は粘着力・・粘れ・・わからないところは何度でもやれ・・できるふりするな。
わからないのに格好つけるな。
聞けよ。」
教育関係者というより
現場監督のような・・
子供たちの知識の土台作りの土木監督のようである。
基礎がゆるゆると甘ければ、知識は流れる。
学ぶことにいい加減なことをすると
まともに体当たりされるから・・ぶつかってこられるから
子供たちは怖いのだと思う。
試験前のその教室に
I君、ひとり、
今年3月に逆転満塁ホームラン合格の高1がいる。
連日、試験前で勉強しにきている。
I君に夫は
「もう、帰るのか」
「はい」
「聞きたいことはないのか」
「大丈夫です」
「本当か?」念を押して
去年の中3とは違い、高校生のI君に
「ごくろうさま」と言う。
つい3ヶ月前のI君の喜びはまだ、私に中にも続いていて
会えば嬉しい。
部活で忙しいのに、
試験前だからといって
塾に来て、黙々と勉強する姿は
夫にも私にもすがすがしく、好ましい。
夫は
まじめな
人で・・・
何でもいいとは言わぬ、
適当な勉強、
適当な点数、
いい加減なことはするな。
その一点にこだわり、教室を歩き回り、
「ただいま」
精根尽き果てて帰る人です。
1ヶ月前に卒業生と偶然、北仙台近辺で夫が会って飲んだ。
夫に
「来たら?」
誘われて店に行き、その隣の席に座ったら
卒業生のM君が話し始めた。
「玲子先生、僕は今北先生に
中3の時に、高校入試の前の日、適当にやって
こっそり帰ろうと思って、外に出たら
二階の教室の窓ががらっと開いて、大きな声で、
こらあー
逃げるな!
あの一言、
今もはっきりと覚えています。
あの言葉があるから、今の僕はあるんです。
逃げるな・・
その言葉をいつも思い出して、仕事をしてます。
今も、今北先生の言葉は胸のここに・・
あります。
逃げてばかりだった中学生の僕が逃げずにいます。
飲めて嬉しいです。
やっとそのことを言えて嬉しいです。
言葉は大量にある。
どの言葉を留めるか。
子供たちに伝えたいことは山ほどある。
でも、叶わないこともある。
早く終わればいいと時計を見る子も大勢いる。
M君
夫の言葉があなたに響いたのではなく、
ずっと気がかりな自分と
向き合ったのではないだろうか。
だから、忘れなかったのではないだろうか。
M君!
なんの、礼には及びません。
あなたがその言葉を見つけたのだと思う。
これをお読みの卒業生の皆様、
「先生!丸くなったんじゃないの?」
そうね、
多少は優しくも丸くもなりましたが、
皆さんがご存知の
学ぶことにはしつこく、詰め込んで
高校にも大学に行っても大人になっても困らないように
今も元気に走り回っています。
「そうか・・元気ですか」
はい、現役ばりばり、元気です。
つながっていて下さいね。
これしかできない夫婦です。
卒業生のあなたたちも
ひとたび、社会に出たら
毎日が試験でしょうか。、
毎日、試験前でしょうか。
たまには
適当にね!
疲れないようにね。
今北玲子