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秋のおさらい 2

10月16日、恒例の柳家小袁治師匠の落語会。

塾は休み。落語にふれてもらう日としています。

塾生や卒業生の皆様には感謝です。

 

 師匠は塾を見つめてこられた。卒舎式も毎年欠かさず、来られている。

長いこと、おつきあいしていただきました。

 

夫は楽屋と行ったりきたり、忙しそうだが、人の集まるところ、人が好きです。師匠が大好きです。お手伝いができるのが嬉しいのです。

受付は卒業生のきれいなお姉さん方3人と、たった一人、男性は急遽、塾のアシスタントのY君、4人が引き受けてくれた。(Y君は心優しい、詩人です。いい詩を書きます)

受付嬢の、

ひとりは最近、結婚したMちゃん、頼んだら二つ返事で引き受けてくれた。さわやかな、いい男のご主人も追っつけ、来てくれるはずである。義理人情に厚い夫君であります。

もうひとりは、山形から来てくれたゼロ期生(開塾前の教え子でアシスタントもしていた)Mちゃん、1年に一度、落語会に必ず来てくれる。いつ見ても若い。

あとは私の娘。この方も若い。勤めだしてからは、勤務先から直行で駆けつけてくれる。だらしない私ですから、我家に、たいしたきまりはありませんが、卒舎式と小袁治師匠の会は、暗黙で手伝いに来ることになっていまして。

今年から社会人のジンヤも終わり次第、駆けつけることになっている。マサヤは部活で今日、怪我してしまい、可哀想に留守番となった。

 人はなにもできなくとも、そこにいることがいいと思うのです。

親がお世話になっている方だから来るんだぞ。夫の思い・私もそう思います。

来なかったら・・・・・・ただじゃすまない。

これは私の言い草で、言ったことはないんですが・・・・・・

そんなことを言わなくとも来てくれるのは

師匠のお人柄を知っているからであろうかと思います。

 

受付のこの3人の組み合わせは意外に多い。

年も近く、娘の大好きなMちゃんとは同窓会のようであるし、私もゼロ期生のMちゃんと、久々でうれしい。聞いたら大手〇〇勤続25年で表彰されたという。一時はひとりで生きていくには・・・・・・と、話すこともあったが、数年前、いい人と巡り会って結婚した。幸せそうである。ほんとに良かった。

2年前、小袁治師匠のこの落語会で、

「先生、うち人です」と紹介されて、「私、Mちゃんが大好きで、大好きなこの人をよろしくお願いします」

花緑師匠がゲストの夜だった。頭を下げて、託せるような、

落ち着いた、あったかそうな、いい男性であった。

1年に一度、受付をしながら近況を聞くのがここ何年も私とMちゃんの、二人の習慣になっている。落語会がなかったらできなかった交歓です。この会のお蔭でもあります。

 

塾の小学生にロケット団のフアンがおりまして、

「先生、ロケット団のサインがほしいんですけど」

「もらってやるぞ。師匠に言えば、な」と言われたA君は、今日は神妙である。

さて、落語会が始まる前に、望みが叶って

レッドカーペットにもよく出演する人気急上昇のロケット団の二人が

子どもたちの恋慕に(小学生3人と中学生ひとり)

会場の二階までやってきてくれた。

だいぶ、話してくれたようだ。ありがたいことです。

サインをもらい、写真まで一緒に撮ってもらった。

「どうだった?」とサインを胸に抱いた小学生に聞いたら

「先生、ぼく、すっげえ!緊張した」

テレビでしか会えない、住む世界の違う芸人さんに大興奮であったようだ。

「塾の落語会でさあ、サインもらったんだ、ほら、この写真も」

ずっと、この子の胸に残るだろうと思う。

 塾の落語会といったら、師匠しかいない。

大人になって、はっと、自分の手元にあるのは師匠のおかげ、と思ってくれたら

嬉しい。

 

柳家花緑師匠門下の柳家花ん謝さんの品のいい落語が終わって

師匠の「女天下」(おんなてんが)は夫婦の、かかあ天下が絶妙で、大笑いで楽しませてもらった。

仲入りをはさんで

場内は売り出し中のロケット団に大爆笑。

フアンのあの小学生も大笑いしている。

受付のMちゃんが

「仙台じゃ、サンドイッチマンだけど、山形じゃロケット団ですよ」と教えてくれた。

ほんとに、おもしろかった。

山形弁はまことに親しみがあり、テレビだと短いが、

たっぷりの大笑いでありました。

 

最後の一席・・・・・小袁治師匠は

しっとりと・・・・・・・

おでましになって、

「今は差別用語とか申しまして、放送はできにくくなりましたが、決して馬鹿にして喋るわけではございません。・・・・・・」

プログラムによると

(『心眼』は黒門町の師匠と言われた先代の桂文楽師匠の十八番でした。落語の中興の祖といわれた三遊亭円朝師匠の晩年の作品です。円朝門下の目の不自由なお弟子さんの実体験を落語にいたしました。)

 

「心眼」がはじまった。

丁寧な口調で

情景が見えるようで、見えた情景は心に打つようで、しかも、一縷のよどみなく流れるようで、

聞きやすく、

師匠のトーンを落とした声は、胸の深いところに届くような名演で、場内はしんと聞き入った。

師匠の噺は毎年、磨きがかかるようであります。練り上げられていくような感じがします。そして、今夜の一席も染みる話でありました。

労を要する講釈より、聞いているだけで

人の業を垣間見る思いでありました。うまいなあ!

 

名残惜しくも高座は尽きまして、 

何度も何度も客席に

「ありがとございました」「ありがとございました」

客席のすべてを見渡して

幾度も頭を下げる、師匠の頭上から

今夜はよござんしたでしょ、

緞帳が一言添えて、高速で下りていった。

 

「今年も良かったねえ」

「先生、10月は小袁治師匠の落語を楽しみにしてるんですよー」

卒業生のお母さんたちが夫や私に声をかけて帰っていく。

秋の一夜は 

大笑いで気を晴らし、

染みる滋養のある一席を

とっぷり、

腹におさめた、贅沢な夜でした。

 

打ち上げは泰華楼。

「玲子先生、お疲れ様です」

ママの声は、どの人にも平等に、ママならではの笑顔でねぎらう。ほっとします。

 店内は毎年の事ながら、打ち上げには、和やかな雰囲気が生まれる。

師匠の細やかな気遣であります。フアンを大切にする心遣いでもあります。

各テーブルに師匠がいくと、どっと笑いが起こる。

 

今年で「柳家小袁治の会」は22回を数える。

精進し続ける本物の芸と

フアンを大切にする気遣いと

感謝を忘れない師匠が築いた時間が仙台にはあります。

ここ、仙台で22年も続いた所以は

これであろうかと、

泰華楼のドア近くで、塾のアシスタントとビールのグラスを傾けて、

遠めに師匠の笑顔の立ち振る舞いを見ながら

そう、思いました。 いい夜・・・・・・・

 

秋のおさらい・・・・・つづく

Reiko

 

 

 

 

 

 

 

 

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2009年10月31日 21:54に投稿されたエントリーのページです。

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