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8月も終わりました。

夏期講習も、終わりました。

毎日7時間、8時間、ハードな講習が中3の力になったら何よりです。

夏のキャンプも無事に終わりました。

お預かりした大切なお子さんたちです。

心から、無事の帰宅が一番って毎年思います。

 

キャンプでは東京から大学1年のM子ちゃん、地元の大学同じく1年のYちゃん、

今年、公務員になったY君は有給を取って

アシスタントのR君もⅠ君もT君も時間を工面して手伝ってくれた。

ありがと!

キャンプではアシスタントは欠かせない。

包丁を使う炊事場、やけどが心配のカマドの火、夢中で芝生を走り回るふとした怪我の応急、子どもたちの体調の良し悪し、寝着いたかどうかの夜の巡回、二泊三日の子どもたちの安全を図るには複数の目と足が必要で

(なかでもキャンプに合わせて帰省のM子ちゃん、仲よしYちゃん、優しいお姉さん二人は中学生の話し相手から炊事のことまで、いろいろとありがと、初めてのキャンプアシスタントなのによく気がつき、大助かりでした。ほんとにありがと!)

アシスタントの皆さん、お蔭様でした。お疲れ様でした。

それはもう、有難くて有難くて、でした。

 

二日目、

一日だけ、高1のRちゃんが参加。

アシスタントではないけれど、参加したい。

いいですよ。

本を読んだり、中学生が走り回るのを眺めたり、絵がものすごく上手で、

なにやら描いてもいた。

(中学時代にプリントやノートの隅に描かれたRちゃんの絵を

見るのが楽しみでした)

野外を一人で楽しんでいるように見えた。

キャンプの読書タイムに、Rちゃんに声をかけたら、

読書感想文を書いているという。

あなたなら書ける。中3から作文は申し分なし。

好きに書いたらいいよ。あなたはうまいもの。(文才ある!)

そうですか。そうです。

それにしても

よほど野外が好きなのだろう。

Rちゃんを見ているとにこにこしている。

キャンプに来てあなたが楽しいのならよかった、

遠目からRちゃんの姿を見てひとりごちした。

 

夕食を一緒に食べて、キャンプフイアーが始まった。

中3がキャンプフアイヤーの音楽、CDを忘れたー!

どうしよう、慌てていた。

隣に座っていたRちゃんが囁いた。

「玲子先生、よっぽど、家を出るとき、もし中3が忘れたら、と思って、

CDを持ってこようと悩んだんだけど、やっぱり持ってくればよかった」

後悔しているようだった。

まあ、中3がCDを忘れるかも? そのもしや? まで心配するほど

それほどキャンプが好きなんだ。

 

音楽のないキャンプフイアーも終わって、スイカ割りして、

スイカ食べて、9時近い。Rちゃんが帰る時間になった。

そういう予定だったから

「帰ります、今北先生」

「ありがとな、ごくろうさま、またな」夫が大声で言った。

Rちゃんをゲートまで送っていくことにした。

お母さんが車で待っているはずだ。

「送るよ」

「すいません」

「いえいえ」

高1のRちゃんとは読書感想文以外に話をしていない。

一日だけでも来てくれて、ありがとうも言いたかった。

それにRちゃんと一緒に二人で歩きたかった。

 

歩きだしたら意外に夜道は暗い。

街灯があるから大丈夫と思ったが、真っ暗。

待ってて、Rちゃん。

走って炊事棟まで戻った。

だれかあ、懐中電灯貸してくれなーい?

卒舎生第一期、第一号の息子、N君が私の声にすぐに気がついた。

さすが、N君の息子!

これ使って下さーい、走ってきた。

ありがと、貸してね。

 

夜道を照らしながら、

「暗いね、懐中電灯あってよかった」

「うん」

「今日はありがと」

つい聞いた。

「Rちゃんはアウトドアがほんとに好きなのね?」

今日一日のRちゃんの様子を見れば

キャンプが好きって、わかる。

高1の参加者がいないのに、日帰りでも参加したいほど、

キャンプや野外が好きなのだろう。

「キライ!」

「じゃあ、外で過ごすのが好きなのね」

「ダイキライ!」

あらら、

「あたしはRちゃんがキャンプ好きだと思っていたよ。去年もキャンプは

楽しそうだったもん」

(去年のキャンプフアイヤーのとき、マイクを持って進行役もしていたし、音楽もばっちりだったし、目が合えば笑っていたし、8月の最高気温の真っ盛りの午後、鬼ごっこもして汗だくで走り回っていたし、いつでもいつでも笑って楽しそうだった)

「玲子先生、本当はキャンプも外もダイキライだもん」

「じゃあ、今日はどうして?」

 「ホクソウシャだから」

暗闇にRちゃんの声だけが

聞こえた。

 ホクソウシャ、だから、アハハ。

外はいやだけど、キャンプも大嫌いだけど、

ホクソウシャだから。

Rちゃんが笑った。

箸が転んでもおかしい年ごろ、

キャハハ、アハハ

そっか、ありがと。

あはは、

私もつられて笑った。

だってそうだもん、アハハ。

 

見上げれば

頭の上にぴっかりの星、

Rちゃんの屈託のない大きな笑い声、

ホクソウシャだから、キャハハ。

 

 塾生全員がこちらを向いてくれるとは限らない。

誰かがやめることもある。

申し訳ない、ごめんなさい、すみません。

言ったとしてもどうなるものでもない。

私たちの何かが悪かったのだと思う。

そういうとき、

キャンプのために三日も有給を取ってくれたY君が

玲子先生、僕は塾のキャンプに来たくて来たんですから。

あったかい言葉に、

18歳のM子ちゃんやYちゃんが春休みに来て、

塾っていいよね。うん、二人が顔を見合わせる横顔に、

塾を続けてもいいのね。

思ったりする。

がんばろ!

小さな虹が見えたりする。

 

後日、Rちゃんの、心に残る高校生クラスの申し込み書を思い出し、繰ってみた。

(特技・・・・・・絵を描くこと。

昨年度の反省と今年の抱負・・・・・・

小学校から受験まで本当にお世話になりました。

高校での勉強は数学を筆頭に、ガラッと空気が変わった。

頭での理解だけでは追いつけない部分が多くあるようで、

いつでも分からないところが聞けるように、

またやはり

私が

「勉強したい、したくなる!」場所はここしかないんだという思いに気づき、

また北剏舎に居座らせていただくことにしました。

受験が過ぎた今でも、

塾が家であり、私が学ぶための空気と景色です。

またよろしくお願いします!)

 

そう想ってくれるのはあなたの心の良さ。

でも、うれしい、Rちゃん、

キャンプも外も嫌いだけど、

ホクソウシャだから。アハハ

笑い飛ばす、その一言。

これもまた

なんとも力になりますんです。

 今北玲子 

 

 

 

 

 

 

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2012年9月 1日 20:14に投稿されたエントリーのページです。

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