公立入試が迫ってきた。あと1ヶ月もない。
「受験が近づいて大変でしょ? 」
知人や卒業生のご父兄に、労いの言葉をいただく。
でも実はこの時期が一番楽しいんです。
学校から制服のまま重いかばんを背負って直行の人、
軽く食べて着替えてくる人、中3の全員が6時前には揃う。
10時まで誰も帰らない。
でも心配は心配です。
そして親御さんの気持ちが痛いほどわかる時期でもあります。
我が子の涙は見たくない。
発表の日は家族で笑顔で過ごしたい。
同じです。
親も同然の気持ちになります。
難しい問題が解ければ、おお、力がついた!
合格は信じていい。
強気で、みんな大丈夫だ!とうれしくなる。
しかし、さもない漢字やスペルを間違えると
一気に不安になる。
大丈夫だろうか。
全員が不安になる。
一喜一憂、心の中の魔物に、思うさま蹂躙されている感じがします。
この時期は心配と不安とで落ちつかないけれど、
それを上回る楽しさ、蜜な時間を共有している気持ちもします。
中3は塾にいる時間が家より長くなり、
今日もかく戦えり、ひとりひとりの中3が、
親友のような、
同士のような、
我が子のような、
混在の感覚が教室に流れ、私たちにも流れます。
同時に、15歳の心細さ、大人に近づく、頼もしさも
目の当たりにします。
「玲子先生、こわいよう、どうしよう、不安」
「不安の方がいいんです」
「ほんとですか」
「本当です」
私立の入試を前に
そう言っていた中3も乗り切った。
私立は全員合格しました。
もう誰も
不安に思っていても、怖いとは言わない。
あと少し、
油断せず、一緒に行きましょ。
そばにいます。
玲子