匂いで・・・・・
塾に向かった。
冷え込んだ夜の匂いと冬の匂い。
冬でっせ。
ねっ、夜の皆さん!
ん?
鼻先、つんと
「とっくに冬でがすと!」
年末だというのに
まだ、こたつも出していない。
だらしない娘に
天の母上・・・
今日はお叱りの冬の匂いにおわしますか。.
母上にあやかろうと
形見の紫のオーバー毎日着てても
こんなんです。
彼岸からにも世話かけまして。
いずれ、又、別のお姿にて
お母さん・・・
Reiko
、
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塾に向かった。
冷え込んだ夜の匂いと冬の匂い。
冬でっせ。
ねっ、夜の皆さん!
ん?
鼻先、つんと
「とっくに冬でがすと!」
年末だというのに
まだ、こたつも出していない。
だらしない娘に
天の母上・・・
今日はお叱りの冬の匂いにおわしますか。.
母上にあやかろうと
形見の紫のオーバー毎日着てても
こんなんです。
彼岸からにも世話かけまして。
いずれ、又、別のお姿にて
お母さん・・・
Reiko
、
1ヶ月前だったろうか。
自宅前の駐車場に変なとめ方の1台の車。
他の車が出られない。
こういうことはしょっちゅうある。
共同の駐車場は美容院、歯科、携帯ショップ、
特定できないが、ご近所を探せばたいてい見つかる。
その日は大家さんも巻き込んで捜索したら、
車の主はお向かいの歯科にきた方。
私は騒ぎは知らなくて帰宅。
玄関で主人に何度も頭を下げている後ろ姿。
どなた?
「旦那さん、本当にすみませんでした」
「いえいえ、一言止めますって声かけてもらえればいいですよ」
そっか。そっとしておこう。勝手口に回ろうと思った。
人の気配を背中で勘付くと察しがいい。
「奥さんですか?あららら、ご迷惑かけてごめんなさいね」
振り向かれて! おっ!
70歳はゆうに、とお見受け、
茶髪を結い上げたアップ、
一度会ったら忘れられないかも。
赤いスカーフにグレーのパンツ、前髪ってクルクルカール。
口元、際立つそこだけ元気な真っ赤なルージュ・
スリムなお姿には声が大きく、
「なんてまあ、皆さんにご迷惑かけてしまって、
今後こんな事私、二度としませんから。
許してください。許してくないねえ」
フアッションは奇抜だが、人の良さそうな感じ。
数分後、ピポピポピポーン・さっきのおばあちゃん。
玄関全開で立っている。
「これ、食べてけさい。まずっしゃ、受け取ってくない」
素早く私の手に葡萄を乗せた。
「いいんですよ。気を使わなくとも」
何度も詫びるので車に乗るまでお送りした。
紅葉マークの車に乗り込むと、これまた窓全開、
「堪忍してくないねえー」
ハンドルを握りながら頭を下げて、
車道に出ると車体を進行方向に整え、左手をあげ、ブイーンと鮮やかに
私の目の前を一気に走り去った。お見事。
次の日、午前中、ピポピポピポーン・玄関全開でおばあちゃんが又、立っていた。
昼時に帰宅した主人に報告。
「あのね、さっきね、
『奥さあん、昨日はどうも。ごめんなさいねえ』って昨日のおばあちゃんがきたよ。」
「そうか」
「それでね・・
『お宅の旦那さんは優しいねえ』
感激していたよ。あなたの昨日の玄関での一言」
「いや、きついことも言えないしな」
「そしてね・・
「おばあちゃんがね
『私ねえ・・・ひとめぼれねっ』・・」
「ええっー」主人がよろめいた。
一拍おいた私も悪かったけど
生徒には人の話は最後まで聞けっ!っていうのに?
意外に、もろくよろめいて私を見るので、
「新米」
いくつになっても「あなたは優しいねえ!」
うれしいものですよね。
ピポピポピポーンのおばあちゃんはあの日から
歯科に来るたびに必ず挨拶がてら世間話をしていく。
チャイムを鳴らすと同時に玄関バーンと全開。
茶髪のアップにパンツ姿・お決まりの真っ赤なルージュ。
「今日ね、ここまで来るのに道、混んでんの。
そしたら、ほら、途中で知り合いの佐藤さんって、
議員のね、その人のほら、隣の家のシメジがあったからっしゃ。
おつゆにでも入れて食べてけさい。
うまいよう、お宅でみんなで食べらいね」
「はい」」
ほら、と言われても佐藤さんも隣の家がどなたかも知らないけれど、
こんな会話もご縁も好きだ。
「今度は1週間後に来っからっしゃ。
奥さあん!旦那さんは優しくていい人だものねえ」
別れしなに必ず私に一言プレゼント。
男も女も年重ねて、
連れ合いほめられるって、いい気分。
このめぐり合いに間違いなかった、なんて方面まで膨らみます。
親切な横恋慕をご存知の紅葉マークの先輩・
私の新しいお友達。
今北玲子
北剏舎カップルに3人目が生まれた。
二人は塾のアシスタントで知り合い、将来を一緒に歩こうと誓い合ったが、
夫のK君には目標あって、その途中だったし、結婚式は挙げないという。
二人の門出に何かしてあげたい。
3月の恒例の卒舎式・塾生と祝うことを主人が思いついた。
「北剏舎・
北仙台駅前婚・塾前婚」
そんな垂れ幕を主人が手書きで書いた。
花嫁のSちゃんに豪華なベールではないが、
ありあわせのベールと花束を渡し、
小学生から中3、その親、アシスタント、そして私達夫婦と
教室で式を挙げてもらった。
誓約書を主人が読み上げた。
「寂しがり屋の私にたまには連絡を寄こすこと、二人で会いに来ること、」
もっとあったな・・・
様々な夫の要望を入れた誓約書を二人はうなづいて泣いて笑った。
あれから約10年。
誓約書を
律儀に守って
仙台を離れたのに、年に一度は家族の無事と子どもの成長を見せにきてくれる。
「陣痛が始まりました」
メールが入り、安産祈った。そして、無事に男の子が生まれた。
一人目のときも二人目のときも
そして、今度も
極上の喜びの鐘が鳴る。
写真が送られてきた。
美しい赤ちゃん・
美男美女の二人の子供達は
上の二人も美しかった。
その夜、電話で話した。
「この子と会うためだったのかしらね。よかったね、やっと会えたのね」
「はい、会えました。先生、いろいろ本当にありがとうございました」
私こそ。
あなた達夫婦にありがとう、二人のご両親にありがとう
二人の幸福ありがとう、5人家族ありがとう
この電話ありがとう
縁だけではない、
なにやら
頭を下げたいのです。
大きな大きな
ありがとうございます。
今北玲子
お世話になったから、今や私達のパソコンの先生のT君に連絡した。
「玲子先生よかったですね。正史先生から連絡きました。
今夜、小袁治師匠に残っていた玲子先生のブログを全て回収しましたから」
回収って?
ほーっ、世の中いろんなことができるのね。仕組みはわからないけど、感心と尊敬と感謝。
「ブログは玲子先生の財産ですから」
なんと、とんでもない、いいえ、いえ、いえ
私の財産はね、たいしたブログではないのに奔走してくれる卒業生のあなた。
連日、夫にメールがやってきた。
「奥さんの気持ちがわかる」
これまたすみません。
ブログを勝手な私信に変え、
あらら、って・・・画面の向こうでご心配を頂いた皆様!
仕事で忙しいのに深夜まで回収してくれた卒業生のT君、あなたにも!
いつもさわやか池見さんにも!(支援塾の出会い、忘れられない清々しくあたたかい方)
[復活おめでとう」いち早く(心優しい大阪の親分)小寺さんにも!
かたじけなく、
実に実に!
私、
煩わしてしまいましたね。
私・
同情という言葉は好きです。
同じ気持ちになろうとする。
「あなたの気持ちはわかるよ」
小さなつぶやきの贈り物には何かイッパイつまっている。
東北生まれの母が「ありがとう」の代わりによく言っていた。
「お痛みかけまして」
今北玲子
」
自宅前の道はさんで八百屋さん・花屋さん。
年末・年始・1月2日には卒業生の飲み会・いろいろ買って・
そうだ・花も買おう・・
わざわざバッグから財布出して手に持って
あっ!
花屋さんがない。
店をたたんで引越したんだっけ。.
そういえば、越した時も
「お花屋さんは?」
「もう1週間前に引っ越したよ。知らなかった?今北さん」
教えてもらったんだっけ。
それもこれも思い出した。
なんということか・
向かいの花屋さんのおばさんは毎朝、店先・箒ではいて、
打ち水して・・花を並べて
時々向かいから電話が来て
「今北さん、花・間に合っている?」
「何があるんですか?」
「カサブランカとカスミソウ」
なぜか、私の好きな花だけ売れ残る。
このごろ、電話がないところを見ると
売り切れの
商売していると信じていた。
「おばさん、お若いですね。おいくつですか?」
「昭和4生まれ」
「私の母と同級生ですね」
そのことだけ覚えている。
毎日、花屋のおばさんは道の向こうで
商売していると思っていた。
数ヶ月前から、すっと空き地だったのに。
思い込みの不思議・
悪い思い込みよりいい・・と思います。
花屋のおばさんは朝から元気だな!
店に夜中まで明かりもともっていて、病気がちなご主人が具合悪いのかな?
間口1間の店も、夜の明かりもおばさんの姿も
あると思っているから見えた。
幻を見ていた。
迷惑のかからぬ
思い込み・
きっと誰にも怒られませんから
いいと思います。
今北玲子
夫は午前の10時の小学生から、夜の8時まで冬期講習です。
一時も休みなし。
夕方・
私も夕食支度を終えたら行かなきゃ。
「中2のD君が鼻血だした。来れる?」
夕飯の支度の途中だが、
急いで
教室に行ったら、もう止まった。
家に戻ると又、電話。
「今から行ってもいいですか・」
「いいよ」
通信制のSちゃん。
「できるところはやっててね。すぐ行く」
夕飯の支度は途中で放棄して「後は適当に食べてください」
子供たちに任せた。
Sちゃんはスムーズにレポートは進んでいる様子。
「わかる?」
「はい、結構できます」
「山月記」のレポートのようだ。・・大好きな作品。
(舞台は中国。リチョウは俊才。科挙の試験にも合格。しかし、上司にへいこらするのはいやだ・
いずれ、100年後の作品を残す、詩家を目指して辞職。
しかし、文名は出ず、出奔。旧友のエンサンはある日、虎になったリチョウと会う。
リチョウは虎になった顛末を旧友に告白する。
出没のトラ・・・・
出会った虎は「お前か・エンセイ」
そういうお前は「リチョウ」
・・・
最近は山月記はよく高校の教科書に載っている。
この間も「先生、どこでますか?」
山を張りに来た高校生がいた。
さて、
「Sちゃん、いい話よね」
「はい、人間が虎になって、友達も虎になって、二人で仲良く暮らす話ですよね」
そっか。レポートは教科書の解説を写して何とか埋められても
Sちゃんは漢字が苦手。小中、不登校気味で高校中退。1行にひらがな少しの山月記は大変だ。
「時間は大丈夫?」
「はい」
「読んでみようか。すごく、いい話」
「読んでもらえるんですか?」
「いいよ」
朗読の箇所を鉛筆で指しながら、
Sちゃんは教科書をじっと見ている。
40分。私の朗読を瞬きもせず、
教科書に釘付けで字を追っていた。
「玲子先生、これは事実?」
「小説」
「そうか・よかった!ですよね。なんかいいですね」
「そう?私はこの作品はすごく好きなの?」
「そうですよね」
冬期講習の中学生がいる最中で邪魔にならないように小声で読んだ。
講習は終わって「玲子先生さよなら」「さよなら、先生」「はい、さよなら」挨拶しながら読んだ。
皆、帰った後、夫以外は誰もいない教室で、私の下手な朗読を延々Sちゃんは聞いた。
二人の山月記・・
「玲子先生、実は赤ちゃんが山で虎に育てられた話かと思っていたけど・・・」
「うん、違ったね」
「あなたを応援する小説」
「何で?」
「臆病な自尊心は私にもあなたにもある」
「そうなんですか?」
「そう・・自分を人に暴露されることってこわい・・」
「中島敦って1009年生まれ、100年前の人だけれど・・あなたにも私にもエールだね」
「そうか・正直に生きなさいって?」
「うん、そういう風に思ってもいいね」
いつかどこかで
2007・12・26・あなたと私の二人の「山月記」・・・
思い出してくれたら幸福。
ついでに
「私と先生はあの時・友達だったのかも」
そう思ってもらったらもっと幸福。
今北玲子
演芸大会開始・4時
3時50分
こどもたちは続々教室に来る。
定刻とおりには始まらない。
私と夫のせい・あれがない。これがない、30分も過ぎてやっと始まった。
小3・・二人トランプ手品、ぺたりと座った二人はカードを当てる手品。
卒業生の二世・10歳・あなたたちはいやなら見てるだけでいいよ・
そしたら「僕たちする」・可愛い時間
小4のK君
「玲子先生、僕一人しかきてなーい」
教室の階段で困って座って・・・
「心配しなくていいよ。学校じゃないから、遅れたら遅れたでいいの。プログラムを後にするから」
「そうなの?」
「塾だもの」
あわてたけど、すぐに全員そろって。
「僕たち笛を吹きます。お聞きください」
毎回、教室を走り回っているのに、神妙・
きらきら星・・・清らかな息で吹く笛の音はきれい。
「オオッー」中学生から拍手をもらって
「セイノ!」4人の小学生はそろって一礼。
又も「オオッー」
K君・
「やったぜ・玲子先生」
小5・劇・桃太郎・現代版に改造。
手書きの桃からして・小道具も知恵を出し合って・
ずいぶんと考えたね・
小6・手品。
ひとりひとり、有名な手品師に扮し、披露。
6年生の6人は傍目にあがっているようには全く見えない。
最後に6年生のA君がたった一人
「私は・・・る・る・る星から来たルー大柴といいます。ぶんぶんぶん蜂が飛ぶ(る)を入れて歌います」
さて、(る)を入れると
ぶるんぶるんぶるん・はるちるがるとるぶる・・おるいるけるのるまるわるり・・・・・・一気に歌った。
大喝采。
「すげえ!」
「アンコール!」「アンコール!」
小6のA君はにこにこしてもう一度歌った。
またもや大喝采!
「ありがと・A君・みんなあなたのことすごいって・度胸いいねえ!」
「よくないです」
「全然緊張しないのね?」
「そんなことないです」
「とてもよかったよ!」
「本当?先生!」
A君は全身が浮き立って楽しそうだった。
中1はダンス。流行の曲を踊った。4月にはまだ小学生みたいだったのに身長も伸びて・・・涙が出る。
中2・・2オクターブもでる歌のうまい子がリーダーで静かなハーモニーに魅せられた。
数時間の練習をトイレの前で・音感のいい女子7人・・・
中2の男子は女子に手品の個人技で応戦した。
失敗したり、忘れ物があったりしたが、絶妙な間合い・
「もう1回やって」「そこ、もう1回」アンコール。
ふと黒板を見た。
手書きのチョーク絵!
「演芸大会!の文字・雪だるまの絵」
横にいたアシスタントに・・・
「いいね・、あのチョークの絵!」
「わかります。うまいですよね・先生」芸術大で工芸専攻の彼女が同感した。
中2の温和なRちゃんだ。そして、夫の言うとおりに今回勉強して定期テスト470点を越したまじめなYちゃん、仕事を任せたら完璧・利発なMちゃん・大好き3人娘・デジカメに収めなきゃ。センスいい!
「3年C組、寸劇」中3
学校の授業風景らしい。
「2分間で漢字テストをする。用意はじめ・・・・・」沈黙・走らせる鉛筆の音を大げさに・
早々と「できた」自慢する生徒。
「鉛筆が折れた」「又折れた」「又折れた」できない言い訳をする生徒・
何もせず、いねむりしている生徒。
何も言わない教師・
テストが終わり、教師が強気で言う。
宿題をやってきたか?全員無言・
じゃあ、忘れてきた人は?
一人立ち二人立ち、のろのろ全員立つ。一人だけまだ寝ている生徒。
教師がぼやく。「俺があんなに苦労したのになんでやってこないんだよ」
ちくり・・・
脚本は小学生からの付き合いのS君。
夫が
「この塾では小学生から長くいる奴が一番エライんだ」
S君・
あなたは小学生から来ている自分が演芸大会をまとめなきゃ・そう思ったのね。
「あなたひとりで脚本を?」
「はい」
「そうか・
世の中がいっせいにどこかに流れようとしたらあの生徒のように寝てたっていい。
できた!って自慢はしなくていい・でも、時に自慢みたいだけれど、そうじゃない・自分を主張するのは必要・いやみじゃない・
鉛筆が折れたってぶつぶつ不満のように聞こえるけど、自分のことは体調だって感情だって言わなきゃ・・我慢しなくていい。
せりふは少ないけれど、大切なことがあったと思うの。いやな行動の逆を考えれば、大事なことがあるんだね。
いい脚本だと思った。ありがと」
次の日、授業で中3全員に感じたことを話した。
前から3番目のS君。「ありがとうございます。」上気した顔をノートで隠して頭を下げた。
私だって、あなたの脚本にあった「宿題」考えさせられたもの。
こどもからの皮肉も批判も・本音をありがと!
まもなく、演芸大会のプログラムは終了するのに・
小5の3人組の一人が来ていない。
ずっと気になって教室のドアがあくたび待っていたけど現れない。
小5の3人組のうち二人・心配になって
「先生、H君が来なかったら僕たちどうすればいいですか?」
「3人がそろわなかったら、今日は何もしなくていいよ」
「えっ!先生、何もしなくていいんですか?」
「したかったら、思いついたことをしてもいいよ」
「いえ、しない方がいいです」
二人の顔にほっと笑顔。
3人とも人前で何かするのはいやだったのよね。わかってた・ごめんね・
(もしかして、今日休んだあの子は気が重かったのでは?)
こどもが大人になるのに、いやなことは必要だけれど、
でも、どう考えても・
行きたくないほどいやなこと・眠れないほどいやなこと・食べられないほどいやなこと・
そんなことしなくていい・
しなくていいの・
「逃げるが勝ち」って戦国のお侍さんだって戦術の一手と言っていなさる。
あの徳川家康だって敵に追われ、馬上にて尾篭ゴメン・構うもんか・・・
「どんなことしても生きる」
逃げ遂せた事実が栄誉の歴史に残っている。
たかが、塾の演芸大会・
いやなら休んでいいよ。
昨夜のうちに
「遅れてきていいよ。ビンゴゲームの時に『遅れました』って来るんだよ」
打ち合わせしておけばよかった。
ドーナッツもジュースもご馳走したかった。
私の前に中3の大家さんのお孫さんA君・小学生低学年からの・長いつきあい・・
・・「一番信頼できる大人は正史先生」・・・小学生からよね・
「よくきたね!」部活で忙しくて今日は来れないと思っていたから。
「塾の行事は僕、絶対来ますよ。」
「ありがと!」
「これ、頭に!」
黄色のヘヤーバンドを中3の女子に渡され
「あいよ」
「玲子先生、似合う?」
「うん・かわいい!」
「いいのかな?まあいっか!これも脱ぐんでしょ?」
「そうだよ・脱いで!」
中3の寸劇のあとは全員でダンスらしい。
駆けつけた制服を脱がされ、一人だけTシャツ・・
ダンスの途中、女子に突然押されて前列に・・
振り付けも知らないのに右往左往しながら
困ったように、恥ずかしそうに、皆に合わせて、
汗かきながら、何でもいい、笑われてもいい・
演芸大会を盛り上げる・男気で笑って踊った感じがした。
これがよくて、これが悪かった・
えてして、ものを教える商売の人間は評価するんですね。
人が寄れば、寄った数だけの味・
陽が昇り、陽が落ちて・
その日を暮らして・・ぎょめいぎょじ!
反省は又明日。
あの子を思い、この子を思い、
みんないい子と思う日・
今北玲子
毎年、12月・この時期に演芸大会というのがある。
お楽しみ会・中3にとっては冬期講習に向けての仕切りなおし。
学年超えてひと時の集い。明日がその日。
各学年がそれぞれ出し物を考える。以前は凝っていた。
「おいこら、先生!」
脚本を書き、寸劇ながら、痛烈な学校批判を
やってのける中学生がいた。
最近は手品、ダンス、お笑い芸人の真似、
昨年は中3の男子が学校で習ったよさこいを踊って
教室を揺らすほどの圧巻だった。
夫は年に一度、皆でワイワイやろうというタイプ。
私はどうしても
集団の中で下を向いている子が気になる。
学校なら、適材適所で無理なく免れても、塾では出し物によっては何しかしら役が回ってくる。
心の中で「ああ、早く終わんないかなあ」
暗い気分が伝わる。
主催者は我々・悪いね。つき合わせて。
苦手な子にはいやな行事だ。
やってみれば、
時には、無口で気が重そうにしていた子が爆笑をとることもある。
普段、おもしろく何でもやれそうな子が怖気づくこともある。
思惑は当てにならない。
でも、終わってみればの話で
一人で過ごしたい子を引っ張り出すのは申し訳なくなる。
大嫌いで苦手というのは脳が好まないそうで、
逆に嫌いだってことを突然、脳が好む場合もあるそうだ。
実はいやだと思っていただけで、脳が即座に好むことあって、
本人の気持ちの問題ではなく、脳こそが好き嫌いを決定するのだそうだ。
時に一生好きなことが続く場合と、脳には「飽き」があって変わることもあるらしい。
私は人前に出るのは子供の頃から身のすくむほど、いやだったのに、
今、毎日、子どもたちの前で話をしている。
成り行きだとしても・不思議だなって思ってたけれど、
脳が好んだことだった・脳の責任か。
私が苦手なものを別人かと思える私の司令塔の脳が選んだと思えば
なんだか、気が楽、落ちつく、愉快でございます。
明日の演芸大会で人前に立つのはいや!
様々な場面に成長期の子供たちを連れ出せば物色中の脳も選択肢が広がる?
もしかして、脳が好むことに遭遇する子がいる?
明日。また。
今北玲子