2022年7月 6日

雑感

高1のMちゃん
中3で入塾してから、毎日、塾に来てよく勉強しました。
定期テストもぐんと点数が上がって、
昨年までは考えていなかった、
私立高に推薦合格。

高校生になった途端、勉強しなくなることはよくありますが、
Mちゃんはそうではありませんでした。
高校生にクラスに籍を置き、中3と変わらない勉強量で
感心していたところ、Mちゃんが、
「先生、高校生になって数学が良く分かるんです」
「中3と同じように高校生になってもよく勉強してたもんね」
「いえ、今、高校で分かるのは、塾のおかげだなって思っていて」

嬉しいです。
塾に通ってよかった。通わせてよかった。
一人でもそう思ってもらえたらなによりです。

でも、塾のおかげとMちゃんは有難いことを言ってくれて感謝ですが、
それは
Mちゃんの良さにあると私は思います。

在塾生にもいます。
なんとか成績を上げたいと毎日来て勉強する生徒、
できなかった問題を何度も解く生徒、
ムズイ、ぼやきながらも諦めない生徒、
一心、ひたむきな姿には
清々しさを感じます。
教えられます。

幸田文 氏のエッセイに

万能足りて 一心足らず 
というのがあるが、
一能にも足らず 一心もないのは
ばかである。
ーー略ーー
私の(父に)教えられたのは 一心であったと。
私の憲法だと思っている。
(父は幸田露伴)

馬鹿とは過激ですが、
読者に警鐘を鳴らすのではなく、
己に向けた言葉であろうかと思います。


ただこれ、一心。
一心であれ。

何事にもそうありたい。
私も憲法と
思い定めて暮らしたいです。

高校生のMちゃんは最近、漢字が苦手だからと
10月の漢検に向けて、プリント演習を始めました。
合格に向けて「一心」プラス
「懸命」です。

土日、教室を開けます。
勉強はいやだな思っても
塾に来て、教科書を、塾のワークを開いて、
ただ、
一心に 勉強してみてください。
力になれるよう、
私たちも週末、頑張ります。

玲子





2022年6月22日

6月 小学生

作文が苦手な人ほど、早く終わらせてしまいたいと思ってしまう。
あるいは、「作文をするよ」と言うだけで顔を曇らせる生徒がいます。
苦手な理由のほとんどが、書くことがない。

なんとかしたいな。
書くことを楽しんでほしいな。
ずっと思っていました。

塾であれば学校のようにカリキュラムはない。
ゆっくり漢字もできれば、作文に時間をかけてもいい。

4月下旬 小6の国語
「今日は、1回や2回では終わらない作文を書きましょ」
えっ!
長く書くの?
そう、長い作文を書きます。
時間を追ってゆっくり丁寧に。

「例えば、家族で出かけたとします。
前の晩の様子、朝起きた時間、朝食は何を食べたか。
どんな服を着たか。
何時に出かけたか。
車?
電車?
誰と?
どこに行くのか。
細かく、思い出して書きましょ」

「それなら書けるかもしれない」
少し納得してくれました。

小6の生徒は旅行がいい、ということで、
わくわくの前の晩のこと。
朝、5時半に目覚ましをかけたこと。
目覚ましより10分早く起きたこと。
6時出発。
何も食べずに車に乗り込んだこと。
朝食はコンビニのおにぎり。

塾の200字の原稿用紙がみるみる埋まって
もう一枚ください。

2回目
前回の作文から、
「大きなお風呂に入りました」
この場面はいいね。
もっと詳しく書いてみようか。

お風呂の広さは学校の教室くらい?
「ううん、その半分くらい。
脱衣場にかごがいっぱいあった」
かごはいくつくらい?
「30個、40個かな」
脳裏に大浴場が浮かんできたようです。
鉛筆を持った。

3回目
わあ、いいな、と思った山、小さな川、
高いビル、低いビル、
自分で勝手な名前を付けるのもいいよ。

(余談です。
私も北仙台駅そばの堂々とした戦後ケヤキを「昭和ケヤキ大将軍」
ひまわり薬局前の紅葉が美しいイチョウを、「黄金(こがね)散る姫」
名前を付けると親近感が湧く、と作家重松清氏も言っておられました)

今日も原稿用に文字が埋まっていく。
書くことがあるのです。

子どもが夢中になっている姿は
嬉し楽し、です。
6月になっても作文は終わりません。
続いています。
旅の途中です。

玲子


2022年5月12日

3月から5月

3月16日
合格発表
毎年のことながら、ドキドキする。
食事もする気にはならない。
心配な生徒の顔が次々と浮かんでくる。
きっと大丈夫と思って気を静めようとするが、
なかなかできない。

祈るしかない。
15歳の合否が人生を決めるものではない。
まずは中3全員が、無事に受験できたことを喜ばねばならない。

午後3時、
教室に報告する生徒が次々ときた。

公立高校合格
仙台三(理数)・泉館山・三桜・仙台・富谷・仙台工

すでに合格の(推薦を含む)
私立高校
東北学院榴ヶ岡・尚絅学院・宮城学院・常盤木学園・ドミニコ学院

おめでとう
42期生、全員、4月から高校生です。


3月下旬
中3まで、毎日塾に来て勉強していたのに、
高校生になった途端、部活に追われ、
勉強しなくなってしまった。
塾がないと勉強する気になれない。
「高校生になったら塾は終わりですか」

そんな声を拾って始めたのが高校生クラス。
個別対応のクラスです。
分からないところを持ち込んだり、
普段、勉強していない人は予習復習にあてたり、
東北大生のアシスタントを待機させて質問に答える。
週2回、卒業生のための高校生クラスがあります。
毎日来てもいいんです。
最近はチラシを見て、入塾してくる高校生もちらほらです。

合格発表が終わって、
「高校生クラスにお願いします」
「引き続き、息子をお願いします」

申し込みが数多くありました。
高校生になれば、なかなか会えないなと思っていたので、
42期生の半分は高校生クラスに残り、
また、つきあえることになりました。

嬉しい限りです。

4月11日
開講

新しい気持ちになる。
今年は卒業生や在塾生の弟、妹の入塾が多い。

親御さんの信頼にこたえられるよう、頑張らなければと思います。

5月
市内の中学の修学旅行で教室はさみしくなります。
最近は北海道、飛行機で関西、豪華だなって思います。

友だちと2泊3日を過ごすのはどんなに楽しいことか。

私の修学旅行はお決まりの東京だった。
私も同級生全員、東京は初めて。
見るもの聞くもの、なにもかも、おおーっ、わあーっの驚きの連続だったが、
とりわけ心に残っているのが
東京タワー。
そこで、また、生まれて初めての
外人観光客に出会った。

テレビや映画でしか見たことがなかったから、
田舎者の私は、金髪、長身、青い目、
男女数人にポカンと口を開けるほどびっくりした。
周りの友達も同じで、遠巻きに
「外人、外人だ」
「どこ?」
「ほら、あそこ、外人がいる」
「ほんとだ。すごい。初めて見た」
黒船来航状態。
ひそひそ話して、興奮して眺めていた。

私は勇気を出して、
なんの勇気か。
これはめったにないことだから、近くに行って観察するぞ、と思った。

タワー内は他校の中学生も入ってきて、大分、混み合ってきた。
閑散としていれば近づくと目立つが、混雑は観察するのにいい状況だ。

足の長い金髪の中年の女性に近づいた。
胸の開いた半袖の花柄のワンピースの女性は見上げるほど大きい。
私の腰ほどある足の長さ。
金髪って本当に金だ。
肩に触るゆるい金のウエーブ、腕も金毛だ。
きつい香水の匂いがむんむんした。
これは体臭のない日本人と違って、体臭の強い白人は香水は絶対必要、と
母が言っていた通りだ。
青い目、高い鼻、不思議な美しさ。
到底、同じ人間とは思えない。
洋画に夢中になりはじめた頃で、
銀幕のハリウッドスターのよう。
うっとりした。

隣りに来て、チラチラ見ている中学生の私に気がつき、
金髪のハリウッドスターが優しく笑って、私に年齢を聞いた。
そりゃそうですね。
日本の少女が珍しそうに横で自分を見ている。
「あなたはいくつ?」
自然な流れだ。
今ならわかる。

でもそのときは、わからなかった。
まさか話しかけられるとは思いもしなかった。
年齢を聞かれただけなのに、驚いてしまった。
観察目的の下心を見透かされたようでバツが悪く、
ぶすっとして、
話しかけられたことを、
怒ったみたいに、
走って逃げた。
日本の子どもは感じが悪い。
思ったことだろう。

すぐに後悔した。
なんと失礼な態度だったことか。
もう一度、話しかけてくれた女性のところに行こう。
さっきはごめんなさい。
「さっき」は英語で何というの?
いいや、
質問の年齢だけでも笑顔で答えればいい。

頭ひとつ分大きい、外人の観光客はすぐに見つかる。
タワー内をきょろきょろ探したが、
金髪ハリウッドも異国の男女数人もどこにもいなかった。

この気持ちを誰かに話したいけれど、
友だちに逃げた話をしても笑われるだけだし、
どうでもいい話だし、

目の前に売店があった。
菓子や小物、絵葉書、色とりどりの品々が並んでいた。

何か買おう。
気が小さく臆病な自分を楽しい思い出にする土産。
菓子では食べれば消えてしまう。

奥に各国の人形が並んでいた。
なかでも、
30cmほどの
バッキンガム宮殿の赤い服に黒い帽子の近衛兵と
ピンクの服の三つ編みインデアン娘の人形が目に留まった。

わっ、かわいい!
思った途端、
さっきはごめんなさいは忘れた。
2体で3000円くらいだったと思う。
迷わず買った。

友だちと大笑いしたことや、神田の旅館で、憧れの枕投げしたことより、
礼儀知らずの一瞬が、
修学旅行と聞くと決まって思い出す。

今でも2体の人形は我が家にある。
無礼不愛想な15歳の私がいる。
のど元過ぎれば熱さ忘れる、15歳もいる。
名前はバッキンガムの「バッキン」とインデイアン娘の「デユアン」
(長いつきあいね。愛想は良くなりました。
気が小さいところは図々しさで誤魔化しています。でも臆病風はまだ吹いています)

玲子

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